(2025.4.6)
この本はこんな方におすすめ
・フランスゴシック小説の名作「オペラ座の怪人」を簡易版の洋書で読みたい方。
・Oxford Bookworms Library版のレベル1で、TOEICスコア400~540点程度の難易度です。
記事の概要
・フランスのゴシック小説の超有名作「オペラ座の怪人」(The Phantom of the Opera)をグレイデッド・リーダーズ版(Oxford Bookworms Library)の洋書で読みました。
・本の概要、あらすじ、登場人物、洋書の難易度などをまとめます。
・実際の書籍から英文を引用・和訳します。洋書の雰囲気を少しでも体感頂ければと思います。
・中高生レベルの語彙で書かれていますので、名作をサクッと読みたい方におすすめです。
1.はじめに
フランスの作家、ガストン・ルルーによるゴシック小説の有名作「オペラ座の怪人」(The Phantom of the Opera)を、Oxford Bookworms Library版の洋書で読みました。グレードはLevel 1ですので、中高生レベルのボキャブラリー且つ短くまとめられています。名作に気軽に触れるには最適な1冊と言えると思います。
この記事では、本の概要、あらすじ、登場人物、洋書の難易度などをまとめ、実際の書籍から原文を一部抜粋・和訳します。名作の世界観を少しでも味わって頂ければ幸甚です。
19世紀のパリ国立オペラ劇場で次々と起こる謎の怪事件の犯人とは?
洋書読了📘
The Phantom of the Opera
Level 1 Oxford Bookworms Library誰もが題名だけでも聞いた事のある有名作👍
フランスのゴシック小説「オペラ座の怪人」をGraded Readers版にて読みました😀
パリの国立オペラ劇場で噂されるオペラ・ゴースト(O.G.)の正体とは…!https://t.co/itglRXGdSO pic.twitter.com/vnODVuHAB0— みっちー@英語学習ブロガー (@michi1009_t) March 29, 2025
・オックスフォードブックワームとは~Oxford Bookworms Library
イギリスのオックスフォード大学の出版局、Oxford University Pressが出しているオックスフォードブックワーム(Oxford Bookworms Library)のシリーズは、英語学習者がレベルに合わせて本を選べる様に編纂されたシリーズです。ブックワームなので、「本の虫」という意味です。ボキャブラリーや本の長さ、文法レベル等に応じてレベル分けされており、英語学習者からの高い評価を得ております。今回読んだ「オペラ座の怪人」はOxford Bookworms Libraryのレベル1の分類です。この様な古典の名作を平易な英語で、サクッと読めるボリューム感なのでとてもおすすめです。
→Oxford Bookworms Libraryに関する、オックスフォード大学出版の日本語公式サイトはこちらをクリック
2.本の概要|The Phantom of the Opera Level 1 Oxford Bookworms Library

題名 | The Phantom of the Opera Level 1 Oxford Bookworms Library |
著者 編纂 | Jennifer Bassett イラスト:Martin Cottam |
オリジナル版 | Gaston Leroux, Le Fantôme de l’Opéra (1910) |
ジャンル | ゴシック小説、ファンタジー、ホラー |
出版社 | Oxford University Press |
出版年 | 2012年 |
ページ数 | 64ページ |
単語数 | 6,230 words |
参考:Wikipedia「オペラ座の怪人」
・登場人物まとめ
Oxford Bookworms Library版オペラ座の怪人は、グレイデッドリーダーズ(GR)版として短く編纂されており、オリジナル版と比べると登場人物も削ぎ落とされている様です。GR版なので仕方ないですが、人物描写には乏しいので、一人一人の人物の名前とキャラクターを覚えづらいです。こちらの一覧表が読書の助けになるかと思いますのでお役立て下さい。
メイン
・エリック (Erik): オペラ座の怪人、音楽の天使、オペラ・ゴースト。オペラ座のどこにでも現れ、人々を罠に陥れる謎の奇術師。ひどく醜い顔をしており仮面を被っている。
・クリスティーヌ・ダーエ (Christine Daaé):パリ国立オペラの若く美しいノルウェイ人ソプラノ歌手。怪人に好意を寄せられる。
・ラウル・シャニュイ子爵 (Raoul, the Vicomte de Chagny):古い家柄の高貴なイケメン。21才。クリスティーヌとお互い好意を寄せる。作中で、Young Vicomteと書かれていたらそれはラウルの事。
・ペルシア人 (Persian):エリックの過去を知る謎の男。エリックの罠からクリスティーヌとラウルを助ける。
サブ
・フィリップ・シャニュイ伯爵: Philippe, the Comte de Chagny ラウルの兄。若手オペラ歌手風情のクリスティーヌと恋仲になった弟の事を心配する。41才。Comte de Chagnyはフィリップ伯爵の事。
・アマンド・モンチャミン(Armand Moncharmin)、ファーミン・リチャード(Firmin Richard):オペラ座の新しいマネージャー2人。怪人から届く手紙の要求に悩まされる。
・マダム・ジリー(Madame Giry):ボックス席案内員(Door keeper)。メグの母。エリックを知る人物の1人。
・メグ・ジリー(Meg Giry):マダム・ジリーの一人娘のバレリーナ。
・ジョセフ・ブケー(Joseph Buquet):道具係。怪人の悪い噂を言いふらした。物語の前半で怪人に襲われる。・カルロッタ(La Carlotta):オペラ座のメインの歌手。クリスティーヌが人気になった事を良く思っていない。
・ソレリ(Annie Sorelli):バレリーナ。
・あらすじ
舞台は1880年代のパリ、オペラ座。バレリーナ等の従業員たちの間ではオペラ座に現れる幽霊(オペラゴースト、O.G.、怪人)の話題でもちきり。そのひどく醜い顔や、オペラ座のどこにでも潜んでいる事や、特等席の5番ボックスをいつも怪人の為に開けておかないといけない等々、どこから湧いてきたのかも分からない噂ばかり。そんな中、道具係のジョセフは怪人を見たと言い、彼の容姿等についてペラペラと言いふらす。その夜、オペラが終幕した後、縄で絞殺されたジョセフの姿が…。
オペラ座の新支配人になったアマンド(Armand)とファーミン(Firmin)の元にもO.G.から手紙が届き、オペラの特等席と金銭の要求があり…。謎に満ちた怪人の正体とは…!?
・洋書の難易度
Oxford編纂版のオペラ座の怪人(The Phantom of the Opera)の英語難易度は、初級です。Oxford Bookworms Libraryの中でも最も読みやすいレベル1で、英検5~3級、TOEICスコアで言うと400~540点程度の英語難易度です。中学・高校で習う英単語レベルで読めますので、洋書多読に慣れていく為に読む一冊としておすすめできます。
・本の感想~英語多読でのおすすめ度は星3/5つ中
Oxford編纂版のオペラ座の怪人(The Phantom of the Opera)の英語多読学習教材としてのおすすめ度は星3つ(5点満点中)です。名作が64ページで短く要点だけで編纂されていてサクッと読めるのでありがたいです。学生レベルの英単語で書かれていて、とても読み易いのも良い点だと思います。グレイデッドリーダーズのレベル1なので仕方がないのですが、個人的にはもう少し人物描写や背景の掘り下げが欲しかったです。登場人物が多い割に掘り下げが無いので、途中誰が誰だかちょっと分からなくなる事がありました。ただ、短くてさっと読めるので2回読みましたが、2回目は気になりませんでした。
洋書多読に慣れたい方で、この作品を好きな方が何度も読むには良い教材になると思います。
3.書籍から英文引用・和訳|The Phantom of the Opera Level 1 Oxford Bookworms Library
この章ではOxford編纂版のオペラ座の怪人(The Phantom of the Opera)から、実際の英文を一部抜粋・和訳していきます。洋書の雰囲気を感じて頂き、興味が持てたら実際に本を読んで頂ければと思います。
📝バレリーナ達の間ではオペラゴーストの話題で持ち切り
‘Quick! Quick! Close the door! It’s him!’ Annie Sorelli ran into the dressing-room, her face white. One of the girls ran and closed the door, and then they all turned to Annie Sorelli. ‘Who? Where? What’s the matter?’ they cried. ‘It’s the ghost!’ Annie said.
Bassett, Jennifer. The Phantom of the Opera Level 1 Oxford Bookworms Library (English Edition) (p.9). Oxford University Press. Kindle 版.
「早く早く!ドア閉めて!見たのよ!」と顔面蒼白でアニー・ソレリは更衣室に駆け込んできた。女性陣の一人が走ってドアを閉めると、一同はアニー・ソレリの方を向いた。「誰だって?どこで?何の話?」と彼女らは騒いだ。「幽霊よ!」とアニーは言った。
📝怪人の容姿についての噂
‘Joseph says the ghost is tall and he wears a black evening coat.’ ‘He has the head of a dead man, with a yellow face and no nose …’ ‘… And no eyes – only black holes!’
Bassett, Jennifer. The Phantom of the Opera Level 1 Oxford Bookworms Library (English Edition) (p.9). Oxford University Press. Kindle 版.
「ジョセフが言ってたけど、怪人は長身で黒のイブニングコートを着ているそうよ」「怪人は死人の頭で、鼻の無い黄色い顔だとか…」「…目も無くて、黒い穴が開いているのよ!」
📝ジョセフ・ブケーが何者かに殺害される
‘Oh girls,’ she cried. ‘Joseph Buquet is dead! You know he works a long way down, on the fourth floor under the stage. The other stage workers found his dead body there an hour ago – with a rope around his neck!’
Bassett, Jennifer. The Phantom of the Opera Level 1 Oxford Bookworms Library (English Edition) (p.12). Oxford University Press. Kindle 版.
「あなたたち」彼女(マダム・ジリー)は叫んだ、「ジョセフ・ブケーは死んだのよ!彼は舞台下のずっと下の4階で働いていたけど、別の裏方が1時間前に彼の死体をそこで見つけたのよ。首をロープで絞められた状態でね!」
📝クリスティーヌとラウルが怪人について話す
‘I cannot tell you his name. It’s a secret,’ whispered Christine. ‘I never see him, I only hear his voice. But he is everywhere! He sees everything, hears everything. That’s why I didn’t speak to you on Tuesday night. He is my music teacher, Raoul.
Bassett, Jennifer. The Phantom of the Opera Level 1 Oxford Bookworms Library (English Edition) (p.26). Oxford University Press. Kindle 版.
「彼の名前は言えないわ。秘密なの」とクリスティーヌはひそひそ声で言った。「彼を見た事はないわ、声を聞いただけ。でも彼はどこにでもいるのよ!何もかも見て聞いているのよ!だから火曜日の夜あなたに話さなかった。彼は私の音楽の先生なのよ、ラウル…」
4.さいごに
この記事ではOxford編纂版のオペラ座の怪人(The Phantom of the Opera)についてまとめました。数々の舞台や映像作品化されている名作を、平易な洋書で読めるという点ではおすすめできる一冊です。一方で、短く編集されているので人物や背景の描写は浅く、感情移入したり物語の深みを感じる事は出来ません。Oxford Bookworms Libraryの中のレベル1で、中高生レベルの英単語で書かれているので、初めて洋書にチャレンジする方で、「オペラ座の怪人」が好きな方にはおすすめです。
さいごまで記事を読んで頂きありがとうございました。
おわり
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