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【海外記事和訳】昆虫食が食糧危機を救う(エコで栄養豊富)

(2021.9.26)

(注意)本記事は虫が苦手な方は閲覧注意です。

<記事の概要>
・英国BBCの昆虫食に関するニュース記事を抜粋・和訳してご紹介。
・なぜ今昆虫食が注目されているのか、その背景や昆虫食マーケットの現状、今後の課題が分かります。

1.はじめに

本記事ではイギリスBBCの昆虫食に関する記事を抜粋して和訳していきます。英語の勉強にも役立てて頂ければ幸いです。さっそく概要をまとめると以下の様な内容です。

・昆虫食が注目されているが欧米圏ではまだまだ抵抗を持たれている。
・昆虫食が注目される理由
①豊富で良質なたんぱく質が摂取できる。
②将来予想される人口増加に伝統的な農業・畜産では供給が追い付かない。
③昆虫飼育はコストが安く、環境負荷が非常に少なくエコである。
・昆虫食マーケットが開かれつつあるが、まだまだ発展途上で分からない事も多い(特にアレルギー的な面)

多くの読者様は「虫を食べるなんて…」とドン引きされているかも知れません。かく言う私も昆虫食は未経験です。例えばイナゴの佃煮の様に、あまりにも虫の原型のままの料理は抵抗があります。しかし以下の商品、コオロギせんべいの様な原型が分からない形になっているものであればいけそうですし、むしろどんな味がするのかちょっと気になっています。コオロギせんべいはあの無印良品からも発売されており、今後どんどん注目されるかも知れません(?)

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前置きは以上にして、次章では英語ニュースの和訳をしていきます。今後注目される昆虫食の現状についてすこし詳しくなれて、英語の勉強にもなります。

2.ニュースの抜粋・和訳

本章ではイギリスBBCの記事を抜粋・和訳していきます。日本語部分だけ読んで昆虫食の情報を得るも良し、原文を読んで英語の勉強をするも良しです。

引用元:BBC
”The edible insects coming to a supermarket near you” by Natalie Lisbona (23, September, 2021)
https://www.bbc.com/news/business-58636969

The edible insects coming to a supermarket near you

あなたの近所のスーパーにも食用昆虫が並ぶだろう

✅edible:食用の、食べられる

It has long been suggested that we should start eating insects to help the environment, but for many of us it is not a palatable thought. One Israeli firm is hoping to win over the squeamish by adding different flavourings.

環境保全の為に昆虫食を始めるべきだと言われ始めて長らく経つが、多くの人にとってそれは好ましくは考えられていない。
あるイスラエルの企業は、違った味付けを加える事でその不快さを打ち消して(消費者を)説得したいと考えている。

✅palatable:味の良い、口当たりの良い
✅win over:納得させる
✅squeamish:気分が悪くなる、吐き気を催す

Dror Tamir opens a packet of brown, jellied sweets. “Try one,” says the boss of food tech firm Hargol.

Dror Tamir氏は茶色いゼリー状のお菓子の袋を開けた。「おひとつどうぞ」と食品会社のハーゴル社の社長は言った。

The little gummies are packed with protein, but not from soy or gelatine. They are instead made from an edible, jumping insect – locusts, which are a type of grasshopper.

その小さなグミはタンパク質が含まれているが、ゴマやゼラチン由来ではない。それらは食用可能な飛び跳ねる昆虫を代替タンパク源としている―バッタの一種のイナゴだ。

✅locust:イナゴ
✅grasshopper:バッタ

“Grasshoppers taste like pecans, mushrooms, coffee and chocolate,” adds Mr Tamir. “But with our range of food we can add in different flavours… the gummies come in orange and strawberry flavour.”

「バッタの味はピーカン、マッシュルーム、コーヒーやチョコレートの様な味です」と、Tamir氏は付け加えて言う。「ですが私たちの食品は違ったフレーバーを付け加えています。オレンジやストロベリー味のグミも出しています」。

✅pecan:ペカン、ピーカン(クルミ科の木の実)

The Israeli entrepreneur says he became fascinated with grasshoppers as a child, after hearing stories from his grandmother, who was the cook on a kibbutz, or collective farm.

このイスラエルの起業家は子供の頃からバッタに魅了されていた。キブツ(集団農場)で料理人をしていた彼の祖母から聞いた(昔の)話が、彼を魅了したのだ。

✅entrepreneur:起業家
✅kibbutz:キブツ、イスラエルの農業協同組合。

“I learned about the 1950s, when Israel suffered from both food insecurity as well as locust swarms flying in from Africa and destroying the crops,” he says.
“While most kibbutz members ran to the fields to scare the grasshoppers away, the Yemenite and Moroccan Jewish members collected tons of them to eat.

1950年代にイスラエルが食糧危機とアフリカから流れ込んだイナゴの大群に見舞われ穀物を食われ大変な経験をした事を学びました」と彼は言う。「多くのキブツのメンバーは田畑に駆け出してイナゴを追い出そうとしましたが、イエメン系とモロッコ系のユダヤ人メンバーは食用にするためにイナゴを大量に収集しました。」

✅insecurity:不安
✅locust:イナゴ
✅swarm:大群

“That’s when I learned that grasshoppers are food for billions around the globe.”
The insects have long been eaten by communities across Africa, Asia, Central America and the Middle East, but for many people in Europe and North America it remains an unwelcome thought.

「この話を聞いて私は、イナゴが地球上の何十億という人のための食べ物である事を学びました。」昆虫はアフリカ、アジア、中央アメリカや中東の人々に長年食用されてきましたが、ヨーロッパや北米の多くの人には未だ歓迎されないものであり続けている。

Mr Tamir hopes to change all that, and his firm is about to introduce a range of products. In addition to the sweets there will be energy bars, burgers and falafel balls.
If you are still not convinced that insects will ever become part of the Western diet, some experts believe there may be eventually no choice due to environmental concerns and projected global population growth.
By 2050 the world population is expected to reach 9.8 billion, up from the current 7.7 billion.

Tamir氏はそれ(昆虫食が毛嫌いされる事)を変えたいと思っており、彼の会社では間もなく様々な商品が発表されようとしている。お菓子に加えて、エナジーバーやバーガー、ファラフェルボールなども(ラインナップに)ある。あなたはまだ昆虫が西洋の食事の一部になる事に納得できないかも知れないが、研究者は環境問題と世界人口の増加予想により徐々に(昆虫食は)避けられないものになるだろうと考えている。2050年までに世界人口は、現在の77億人から98億人にものぼると見られている。

✅falafel ball:ファラフェル(中東のコロッケ風の食べ物)

With another two billion people to feed, some say that traditional farming will not be able to keep pace. And that, at the same time, switching to insect protein will be far better for the environment than rearing cows, sheep and other mammals.

(これから)増える20億人の人たちが食べていくには、伝統的な農業では(供給が)追いつかないといわれている。そして更に、タンパク質豊富な昆虫食に切り替えていけば、牛や羊などの哺乳類の家畜動物を飼育するよりもはるかに環境に良い。

✅rearing:飼育する
✅mammal:哺乳類

“Protein is essential in our diets,” says Prof Robin May, chief scientific advisor to the UK’s Food Standards Agency. “But often some of our most protein-rich foods come with significant environmental or ethical footprints – meat or dairy products, for instance.

「たんぱくは私たちの食生活に必要不可欠です」とRobin May博士(英国食品基準庁の主任科学アドバイザー)は言う。「しかしたんぱく豊富な食べ物の多くは環境負荷や倫理的問題を含みがちです-例えば肉や乳製品がそうです。」

✅dairy:乳製品

“Some insect proteins, such as ground crickets or freeze-dried mealworms, are cheap, easy to farm, low fat and have a lower environmental impact than meat.

「コオロギやフリーズドライのミルワームなどの昆虫のたんぱく質は安く、飼育しやすく、脂質が低く、肉よりも環境負荷が少ないのです。」

✅cricket:コオロギ

“And sometimes they may even provide a valuable ‘recycling’ service, by consuming waste products as their primary feedstuff, so the potential advantages to society are significant.”

「時として昆虫食は価値ある循環をもたらします。これまで食べられていなかったものを主食として消費する訳ですから、社会的利点は非常に大きいです。」

Yet Prof May also cautions that some questions remain regarding the eating of farmed insects.
“The way that insects are farmed and the relatively short time in which they have been used as agricultural animals means that we know far less about insect-derived foods than we do for, say, beef,” he says.

しかしMay博士は飼育昆虫を食べる事は、まだわからない事があると警鐘を鳴らす。「家畜に比べて短い時間で昆虫は飼育できるが、その事は、牛などの家畜に比べて昆虫由来の食について私たちがまだ全然知らない事を意味する。」と彼は言う。

A key question at this stage, he adds, is whether some insect proteins may prove to be allergenic or to have significant impact on the human microbiome – the bacteria and other microbes that live inside our bodies.
Mr Tamir is convinced that the environmental and health benefits are enough of a reason to make insects part of the diet.

彼が付け加えて言うには、現段階での重要な疑問は昆虫由来のたんぱく質がアレルギー性質があるのか、それとヒトの細菌叢に重大な影響を与えるかどうかだ-つまりバクテリアや微生物が人体の中で生きるのかどうかだ。タミル氏は、環境的・健康的メリットは昆虫食を導入する理由として十分であると確信している。

✅microbiome:細菌叢(そう)、細菌・微生物の集まり
✅microbe:微生物

His firm farms its locusts at an indoor, solar-powered facility in northern Israel. The main species that it breeds is the migratory locust, but it also farms the desert locust, and a bush cricket called nsenene.
“We can breed 400 million locusts a year in our facilities,” says Mr Tamir, who adds that the insect takes just 29 days to become fully grown.

彼の会社ではイナゴを室内養殖しているが、太陽光発電の設備はイスラエル北部にある。主に育てている種はトノサマバッタだが、サバクトビバッタやセネネと呼ばれるキリギリスも飼育している。

✅migratory locust:トノサマバッタ
✅bush cricket:キリギリス

He claims that compared with beef production, locust farming reduces greenhouse gas emissions by 99%, water consumption by 1,000 times and arable land usage 1,500-fold.
Mr Tamir is also keen to point out that locusts are both kosher and halal, meaning that they can be eaten by both dietary observant Jews and Muslims.

彼の主張によると、牛肉製品と比べて、イナゴの飼育は温室効果ガスの排出量が99%減、水の消費が1,000分の1、耕作する土地の利用は1,500分の1に削減できる
Tamir氏は、イナゴはカーシェールでもありハラルでもあるので、食事の戒律があって口にするものに気を付けているユダヤ教徒とイスラム教徒でも食べられる、と熱く語り指摘する。

✅kosher:カーシェール(ユダヤ教徒が食べても良いもの)

Whether you can actually buy edible insects to eat depends on what country you live in. In the UK, you can buy them from online firms such as EatGrub and Horizon Insects, although the sector would like the UK government to remove expensive regulation.
In the European Union, both the migratory locust and yellow mealworms, the larva of a beetle, were deemed fit for human consumption this year.

食用昆虫を実際に購入できるかどうかはあなたがどの国に住んでいるかにもよる。イギリスでは、EatGrubやHorizon Insectsといった会社からネットで購入可能だ。昆虫食分野はイギリス政府が高い規制金を課しているので(それらの会社は)撤廃を望んでいるが。
EUでは、トノサマバッタも黄色いミルワーム(昆虫の幼虫)もヒトが食べて良いものであると今年みなされた。

✅larva:幼虫
✅deem:みなす

Yet Bridget Benelam, communications manager at the British Nutrition Foundation, says more research is still needed. She echoes Prof May’s concerns about potential allergies, saying some people may be allergic to eating insects in the same way that others have an adverse reaction to shellfish.

しかし、Bridget Benelam氏(英国栄養財団の通信管理者)は、更なる研究はまだ必要だと言う。彼女はMay博士のアレルギーに関する懸念を繰り返す。貝類にアレルギー反応を起こす人がいるのと同様に、昆虫食においてもアレルギー反応を起こす人がいる可能性がある、と。

✅adverse:反対する

She points out that some unanswered questions remain around the safety of consuming some types of insect, which could potentially transfer toxins or pesticides to humans. “These are some of the barriers that need to be overcome if eating insects is to become truly mainstream.”

彼女の指摘によると、昆虫の種類によっては食べる事の安全性について解明されていない疑問がある。人体に有毒であったり農薬の害をもたらす可能性もある。「もし昆虫食が真に主流になっていくのであれば、これらの問題は超えなければならない障壁です。」

✅toxin:毒素

Back in Israel, Mr Tamir admits that “the yuck factor” is one of his industry’s most important challenges. “But I am convinced it will soon be widely accepted, just like eating raw fish in sushi was embraced.”

イスラエルのTamir氏はというと、「嫌悪感」(を払しょくする事)は最も重要なチャレンジのひとつであると認識しており、「それでも私は、寿司で生魚を食べる事が受け入れられた様に、昆虫食もすぐに広く受け入れられるだろうと確信している」と語った。

✅yuck:極度の嫌悪感

3.さいごに

日本人にとっても昆虫食はかなり抵抗があるかと思いますが、記事にあった様に今後は避けられない食文化として広まっていくのかどうか注目ですし、そういう所にビジネスチャンスがあるのかも知れません。

本記事がお役に立てば幸いです。

おわり

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