Culture

不朽の名作「アルジャーノンに花束を」で洋書多読(ダニエル・キイス著)

(2022.12.17)

記事の概要
・ダニエル・キイスのSF小説、アルジャーノンに花束を(Flowers For Algernon)を洋書で読みましたので、本の概要、あらすじ、登場人物まとめ、英語の難易度などを書き記します。
原文から一部引用して和訳します。洋書にチャレンジするかどうか判断する材料になればと思います。
・日本でも映像化された不朽の名作。ストーリーを知っている方も英語で読めばまた新鮮で良い学習になります。

1.はじめに

アメリカの作家、ダニエル・キイスの名作「アルジャーノンに花束を」(Flowers For Algernon)を洋書で読み終えました。この記事では本の概要、あらすじ、登場人物まとめ、英語の難易度、原文から引用・和訳など書き記していきます。和訳もされ、映像化もされた有名作なので既に物語を知っている方も多くいらっしゃるかと思います。しかしストーリーを知っている方にこそ、洋書で改めて読んで英語学習に役立てて頂きたいです。世界中で大ヒットしたベストセラーの感動作ですから、初めて読む方にももちろんおすすめです。

2.「アルジャーノンに花束を」の本の概要~Flowers For Algernon by Daniel Keyes

題名 Flowers for Algernon
(邦題「アルジャーノンに花束を」)
著者 Daniel Keyes
米国
ジャンル SF
出版社 Harcourt, Brace & World
出版年 1966年
ページ数 311ページ
単語数 83,309語
Flowers For Algernon|Daniel Keyes
created by Rinker

・あらすじ~ネタバレはなしで

知的障害を持つ主人公のチャーリー・ゴードン(32才)は、パン屋で働きながら知的障害者専門の学校に通い、知識を得て利口になりたいと願っていた。知能を向上させる脳手術を施されたネズミのアルジャーノンと複雑な迷路を解く競争をするが、チャーリーは負けてしまう。ある日学校の担任のアリスの勧めで、アルジャーノンが受けた最先端の脳手術をチャーリーが世界で初めて受ける事になる。
賢くなる事をずっと切望してきたので、チャーリーは快諾、手術は成功した。かつては見えなかっただまし絵が見えてくる等、少しずつ知能を回復していくチャーリーは、賢くなっていくにつれ、今まで知らなかった事を理解する様になっていく。楽しかった記憶の裏で、実はバカにされていた事も分かってきて、人を信用できなくなり苦悩する。学問においても驚異的なスピードで知識を得ていくが、やがて自分に脳実験をした教授にも不信感を抱く様になる。知識は得たが精神は幼いままのチャーリーは、そのアンバランスに苦しみ、恋愛も思う様にいかない。
脳手術を受けて高い知能を得てしまったネズミのアルジャーノンとチャーリー、2人の苦しみの先にあるものとは…。

・登場人物まとめ

「アルジャーノンに花束を」には多くの登場人物が出てきます。人間関係は複雑ではないですが、名前とキャラが一致しない事を避ける為、以下にまとめます。以下の情報だけあれば問題なく読み進めていく事が出来ます

Charlie Gordon:主人公
Algernon:脳手術を受けた実験用のハツカネズミ
Alice Kinnian:知的障害者専門の学校の女性教師
Professor Harold Nemur:チャーリーが受けた脳手術の研究主任、心理学者
Doctor Jay Strauss:精神科医・脳神経外科医。チャーリーの脳手術を執刀
Burt Seldon:助手
Arthur Donner:パン屋の店長
パン屋の同僚:Gimpy, Joe Carp, Frank Reilly, Fanny Birden, Bernie Bate
Fay Lillman:女性画家
Matt Gordon:父
Rose Gordon:母
Norma Gordon:妹

・洋書の英語難易度

ダニエル・キイスの「アルジャーノンに花束を」(Flowers For Algernon)の洋書の英語は、全体として難し過ぎず易しくもなく、割と普通に読み進められました。TOEICスコアで言えば750点前後あればチャレンジ出来ると思います。
本作は知的障害の主人公の手記の体裁で書かれているので、序盤(手術で賢くなる前)は誤字脱字が多いです。逆に手術後に賢くなってからはどんどん難しい単語や概念が出てきて、読む難易度も上がっていく感じです。
次の章で原文から引用・和訳をしますので、文章の変化も感じて頂ければ幸いです。また、洋書にチャレンジするかどうかの判断材料にして頂ければと思います。

・本の感想~英語多読でのおすすめ度は星4/5つ中

「アルジャーノンに花束を」(Flowers For Algernon)の洋書は多読におすすめです。知的障害を抱える主人公の手記の体裁を取っている為、物語の序盤は誤字脱字が多く、文章に癖があり独特ですが、思っていた程抵抗なく読めました。逆に和訳版の誤字脱字の方が読みづらかった様な気がします。物語が進むにつれて主人公が賢くなっていき、文章も難しくなっていきますが、あくまで主人公が1人称で語っていく形ですので、難解な訳ではありません。

多読でたくさん洋書を読んで英語を学んでいく中での1冊として、「アルジャーノンに花束を」を読んでおいて後悔はないと思います。世界的ベストセラー作品ですので、内容の素晴らしさは折り紙つきです。

3.書籍から英文引用・和訳|アルジャーノンに花束を(ダニエル・キイス著)

本章ではダニエル・キイスの「アルジャーノンに花束を」(Flowers For Algernon)の洋書から英語原文を一部引用して和訳していきます。洋書にチャレンジするかどうかの判断材料にして頂ければ幸いです。誤字脱字も原文のまま引用致します。

✅物語の冒頭部分、毎日レポートを書く様Dr. Straussから言われた

Dr Strauss says I shoud rite down what I think and remembir and evrey thing that happins to me from now on. I dont no why but he says its importint so they will see if they can use me.

Keyes, Daniel. Flowers For Algernon: The must-read literary science fiction masterpiece (S.F. MASTERWORKS Book 6) (p.1). Orion. Kindle 版.

Dr. Straussは、これからぼくが思ったことや思い出したこと、身の回りで起きたことすべてを書き留める様言った。なぜだかは分からないが、(実験にぼくを)使えるかどうかを判断するのに重要だと彼は言った。

※誤字:shoud→should、rite→write、remembir→remember、happins→happens、importint→important
前半はずっとこんな調子で誤字が続きますが、意外と普通に読み進められます。

✅ネズミのアルジャーノンと初めて会う場面

Burt took a wite mouse out of the cage and showd him to me. Burt said thats Algernon and he can do this amazed very good.

Keyes, Daniel. Flowers For Algernon: The must-read literary science fiction masterpiece (S.F. MASTERWORKS Book 6) (p.5). Orion. Kindle 版.

Burt(助手)は白いネズミをカゴから取り上げてぼくに見せてくれた。Burtは、そのネズミはアルジャーノンという名前で、この迷路のゲームがとても得意なんだと言った。

✅脳手術後、アルジャーノンと知能テストの競争をする

I beet Algernon. I dint even know I beet him until Burt Selden told me. Then the second time I lost because I got so exited. But after that I beet him 8 more times. I must be getting smart to beat a smart mouse like Algernon. But I dont feel smarter.

Keyes, Daniel. Flowers For Algernon: The must-read literary science fiction masterpiece (S.F. MASTERWORKS Book 6) (pp.22-23). Orion. Kindle 版.

ぼくはアルジャーノンに勝った。Burtが言うまで勝った事にすら気が付いていなかった。興奮しすぎて2回目は負けてしまった。でもその後は8回も勝ったんだ。アルジャーノンの様な賢いネズミに勝てるんだからぼくはきっと賢くなっているに違いない。でもそうは感じない。

✅Dr. Straussのアドバイス

The more intelligent you become the more problems you’ll have, Charlie. Your intellectual growth is going to outstrip your emotional growth.

Keyes, Daniel. Flowers For Algernon: The must-read literary science fiction masterpiece (S.F. MASTERWORKS Book 6) (p.33). Orion. Kindle 版.

「チャーリー、君が賢くなっていく程、多くの問題を抱える事になるだろう。知能の成長が、精神的成長を追い越してしまう事になるだろう。」

✅賢くなってから苦悩するチャーリーのセリフ

When I was retarded I had lots of friends. Now I have no one. Oh, I know lots of people. Lots and lots of people. But I don’t have any real friends.

Keyes, Daniel. Flowers For Algernon: The must-read literary science fiction masterpiece (S.F. MASTERWORKS Book 6) (p.175). Orion. Kindle 版.

僕が知恵遅れだった頃はたくさん友達がいた。今は誰もいない。僕はたくさんの人を知ってる、本当にたくさん。でも本当の友達は誰もいない。

4.さいごに

本記事ではダニエル・キイスの「アルジャーノンに花束を」(Flowers For Algernon)の洋書について、本の概要、あらすじ、登場人物まとめ、英語の難易度、原文引用・和訳などしてまとめました。私自身は中学生の頃に和訳版を読んだのですが、当時は読むのにかなり苦労した記憶があります。読書が苦手だった事もあって、正直難しくてよく分からなかったというのが率直な感想でした。そんな本を大人になった今、原書の英語で読み切る事が出来てとても感慨深かったです。
物語のテーマとしては、「愛や優しさ等の感情が伴わない知能は人を壊してしまう」といった事だと思います。物語の後半で主人公が家に帰るシーンが象徴的で、最後に家族との関係性や過去を取り戻す様な描写があるのは素晴らしいと感じました。実は私自身はこの本の内容や登場人物は好みではないのですが、素晴らしい本である事には変わりありません。

世界中で大ヒットした感動作ですので、英語多読も兼ねて読むのは価値ある学びになる事間違いなしです。ストーリーを既に知っている人も、まだ知らない人も是非読んでおく事をおすすめします。恐らくですが、村上春樹とかが好きな方ならきっと大好きになる作品だと思いますのでハルキストには特におすすめです。

第2章に戻って作品情報を見る

おわり

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