Culture

ショーシャンクの空に|名作映画原作小説で英語多読(ネタバレ注意)

(2023.4.7)

記事の概要
・名作映画「ショーシャンクの空に」の原作小説を洋書で読みました。原作はあの有名なスティーヴン・キングの本です。この記事では、本の概要、あらすじ、原作と映画の違い、洋書の英語難易度などを書き記します。
・洋書の原文から一部抜粋して和訳します。洋書を読むかどうか判断するのに役立てば幸いです。

※本記事はネタバレを含みます。ネタバレ部分は非表示にしてますので、ネタバレを避けたい方も安心して読み進んで頂けます

1.はじめに

「ショーシャンクの空に」と言えば、1995年のティム・ロビンスとモーガン・フリーマン出演の名作映画がとても有名ですが、今回はその原作小説を洋書で読みました。作者は数々の名作を生み出している、かの有名なスティーヴン・キングです。本記事では、書籍概要、あらすじ、原作と映画の違い、洋書の英語難易度などをまとめます。
洋書の原文から一部抜粋して和訳しますので、作品の世界を少しだけ味わって興味を持って頂ければ幸いです。

結論から言うと、英語は難しいですが、映画・小説ともにとてもおすすめです。

2.書籍概要|ショーシャンクの空に~Rita Hayworth and Shawshank Redemption(1982) by Stephen King

題名 Rita Hayworth and Shawshank Redemption
※Different Seasonsに収録された中編作
邦題「刑務所のリタ・ヘイワース」
著者 Stephen King
出版社 Viking Press
出版年 1982年
ページ数 124ページ
単語数 54,119語(推計)

参考:Wikipedia:Rita Hayworth and Shawshank Redemption

Rita Hayworth and Shawshank Redemption|Stephen King(著)
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・難易度高し。まず映画から入るのがおすすめ

Rita Hayworth and Shawshank Redemptionにて、スティーヴン・キングの小説を今回初めて読みましたが、英語の難易度が非常に高いと感じました。私の英語読解力では厳しかったので、途中で読書を中断し先に映画を見ました

動画タイトル:The Shawshank Redemption | Trailer | Warner Bros. Entertainment
Youtubeチャンネル:Warner Bros. Entertainment
URL:https://www.youtube.com/watch?v=PLl99DlL6b4

結論、先に映画を見てとても良かったです。映画を見た後、また読書を途中から再開した所、文章から映画のシーンが頭に浮かび、英文が多少難しくてもどんどん先を読みたい気持ちになり、楽しんで読み進めていく事が出来ました。良い多読学習になったと思います。
洋書を読み始めて難しいと感じた方は、先に映画を見てストーリーを把握する事をおすすめします。何度見ても深みのある名作ですので、映画であらすじを知っても本を読んでまた楽しめるでしょう。

ショーシャンクの空に
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・あらすじ

妻と愛人を銃殺した疑いで終身刑となった銀行員・Andy Dufresne(アンディ・デュフレーン)は、1948年にメーン州のショーシャンク刑務所に収監された。無実を主張していたが、受け入れられる事は無かった。

Red(レッド)は殺人の罪でショーシャンクに長年収監されていたが、調達屋として囚人からの頼まれごとを引き受けていた(たばこやドラッグの入手等々)。ある日アンディはレッドにロックハンマーの調達を依頼した。最初凶器になったり器物破壊につながる物なのではとためらったレッドだったが、小さなしょぼいハンマーの実物を見て安心し、アンディとの取引は成立した。

アンディは運動場で拾った石をロックハンマーで丁寧に削っていた。その後もアンディはレッドに、女優リタ・ヘイワースのポスターの調達を頼み、自分の収容所の枕元の壁に貼って飾っていた。

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ある夏の日、屋上のペンキ塗りに従事していたアンディは看守の相続話を耳にし、元銀行員としての知恵から節税のアドバイスをした。これをきっかけにアンディは看守達の節税の世話係として良い様に使われた。
アンディは税金逃れの策として、架空の人物“Peter Stevens”のIDを作り出し、その口座に節税した金や資産を逃がしている事をレッドに語った。そしていつかメキシコのシワタネホ(Zihuatanejo)のビーチに小さなホテルを持ちたいという叶いそうにない希望も話していた…。

アンディの収監28年後の1975年のある日、彼は脱走した。看守は刑務所中探し回ったが、アンディの牢獄の壁のポスターを剥がすとそこには人一人分の大きさの穴が掘られていた…。あの小さなロックハンマーで28年間…。レッドはアンディの行ってきた気の遠くなる様な作業に想いを馳せた。

1977年、レッドは仮釈放となった。獄中で“Peter Stevens”からの手紙を受け取っていたレッドは仮釈放のルールを破り、国境を越えメキシコへと向かった…自由な人間だけが感じられる高揚感を噛み締めながら。

・原作小説と映画の違い

(1)原作はレッドの手記の形式

映画はアンディを主人公に、レッドが脇役として演じられていますが、原作ではレッドの回想で手記の形式を取っており、全ての出来事がレッドの視点から描かれています。レッドが「何人かから聞いた話をまとめると…」みたいな感じで語る部分もあり、逆にリアリティを感じられます。スティーヴン・キングの文章の世界に引き込まれるのが原作の魅力の一つです。

Red(レッド)

(2)アンディが立てこもってレコードをかけるシーン

映画内で象徴的なシーンの一つ。アンディが放送室(?)の鍵を閉めて「フィガロの結婚」のレコードを流すシーンは映画オリジナルで、原作にはありません。アンディの人間性がうかがえる印象的なシーンで、良い改変だと思います。

アンディがレコードをかけるシーン
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(3)アンディの無実の鍵となるトミー

アンディの妻と愛人を殺害した真犯人(?)のトミーは映画では看守に銃殺されてしまうが、原作では他の刑務所に移送されるだけ。

トミー

(4)原作ではシワタネホでの再会シーンなし

映画版「ショーシャンクの空に」で最も感動的なラストシーン、アンディとレッドのメキシコでの再会。このシーンは原作には無く、物語はレッドがメキシコへと旅立つシーンで終わります。結構大きな違いですが、原作も映画もどちらもそれぞれの感動を生み出しており、成功していると思います。

ラストシーン

・英語レベル、難易度

「ショーシャンクの空に」の原作小説、Rita Hayworth and Shawshank Redemption
英語の難易度は高かったです。楽しんで読むにはTOEICスコア900点位は必要かも知れません。私は初見では途中で挫折しましたが、映画を見てから再チャレンジして何とか読み終える事が出来ました。読んでいて難しい部分があっても映画試聴後は、「ここは映画のあのシーンだな」と思いながら進んでいけました。まずは映画の視聴をおすすめ致します。

・多読でのおすすめ度は星4つ(5つ中)

「ショーシャンクの空に」の原作小説は、Red(レッド)の手記の形を取っておりシンプルな構成です。
Andy(アンディ)を中心として物語が進み、登場人物も少ないので読みやすく物語の中で迷子になる様な事はありません。そういう意味では英語多読の学習におすすめです。ただし英文は難しいので、自分の英語レベルに合うかどうかを第3章にて、原文を実際に見て確認してみて下さい。

また、繰り返しになってしまいますが、映画を見てから本を読む順番がおすすめです。

3.洋書から引用・和訳|ショーシャンクの空に~Rita Hayworth and Shawshank Redemption by Stephen King

✅アンディがショーシャンクに来た時の事

When Andy came to Shawshank in 1948, he was thirty years old. He was a short, neat little man with sandy hair and small, clever hands.

King, Stephen. Rita Hayworth and Shawshank Redemption (p.4). Scribner. Kindle 版.

アンディが1948年にショーシャンクに来た時、あいつは30歳だった。背が低くて薄い茶髪で手先が器用な小ぎれいな男だった。

✅アンディとレッドの初めての会話

“Hello,” he said. “I’m Andy Dufresne.” He offered his hand and I shook it. He wasn’t a man to waste time being social; he got right to the point. “I understand that you’re a man who knows how to get things.” I agreed that I was able to locate certain items from time to time. “How do you do that?” Andy asked. “Sometimes,” I said, “things just seem to come into my hand. I can’t explain it. Unless it’s because I’m Irish.” He smiled a little at that. “I wonder if you could get me a rock-hammer.”

King, Stephen. Rita Hayworth and Shawshank Redemption (p.16). Scribner. Kindle 版.

「やあ、俺はアンディ・デュフレーンだ」とあいつは言った。手を差し出してきたから握手した。あいつは社交的な事で時間を潰す様なやつではなかったから、すぐ本題に入った。「君は色んな物を仕入れられる男だって聞いてる」。俺はうなずいて、事あるごとに物を仕入れられると言った。「どのように?」とアンディは聞いてきた。「時々俺のもとに物がくるんだよ。説明できないんだ。俺がアイルランド人だからって事以外はな。」と俺は言った。あいつはちょっと笑ってた。「ロックハンマーを調達してくれないか」

✅ロックハンマーを仕入れたレッド

I got him his rock-hammer. I had it in my cell for one night, and it was just as he described it. It was no tool for escape (it would have taken a man just about six hundred years to tunnel under the wall using that rock-hammer, I figured), but I still felt some misgivings. If you planted that pickaxe end in a man’s head, he would surely never listen to Fibber McGee and Molly on the radio again.

King, Stephen. Rita Hayworth and Shawshank Redemption (p.20). Scribner. Kindle 版.

俺はあいつのロックハンマーを手に入れた。一晩俺の牢屋の中でキープしていたが、本当にあいつが言った通りの代物だった。とてもじゃないが脱獄には使えない(もし脱獄に使うんだったら穴を掘るのに600年は掛かっちまうだろう)。だが何となく一抹の不安があったんだ。尖った側で誰かの頭をかち割っちまったらあいつはもう2度とラジオでFibber McGee and Molly(ラジオの番組名)を聴く事は出来なくなるだろう。

✅Rita Hayworthのポスターを頼まれたレッド

It was about five months later that Andy asked if I could get him Rita Hayworth. That conversation took place in the auditorium, during a movie-show.

King, Stephen. Rita Hayworth and Shawshank Redemption (p.27). Scribner. Kindle 版.

それから5か月後にアンディはリタ・ヘイワース(のポスター)を依頼してきた。講堂で映画を見てた時の会話だった。

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✅アンディの「希望」

“When I get out of here,” Andy said finally, “I’m going where it’s warm all the time.” He spoke with such calm assurance you would have thought he had only a month or so left to serve. “You know where I’m goin, Red?” “Nope.” “Zihuatanejo,” he said, rolling the word softly from his tongue like music.

King, Stephen. Rita Hayworth and Shawshank Redemption (p.72). Scribner. Kindle 版.

「ここを出られたら…年中温かい場所に行くんだ」と、アンディはまるで刑期があと1ヶ月みたいな静かな確信に満ちた言い方をした。「レッド、俺がどこに行くか分かるか?」「いいや」「シワタネホさ」と、歌うみたいにベロを弾ませてあいつはその言葉を言ったんだ。

✅レッドが旅立つラストシーン

Sure I remember the name. Zihuatanejo. A name like that is just too pretty to forget. I find I am excited, so excited I can hardly hold the pencil in my trembling hand. I think it is the excitement that only a free man can feel, a free man starting a long journey whose conclusion is uncertain.

King, Stephen. Rita Hayworth and Shawshank Redemption (p.111). Scribner. Kindle 版.

ああ、覚えてるさ。シワタネホだ。そんなかわいい名前を忘れる訳ない。俺は興奮してたんだ。興奮してペンを持つ指が奮えたさ。多分自由な人間だけが感じられる高揚感なんだろう、自由な人間が無計画で旅立つ時の様な。

4.さいごに~和訳本から入るのも良し

本記事では映画「ショーシャンクの空に」の原作小説、スティーヴン・キングのRita Hayworth and Shawshank Redemption(1982)の本の概要、あらすじ、原作と映画の違い、洋書の英語レベル、原文抜粋・和訳などして情報をまとめました。
原作小説は発表から約40年、映画も約30年前のものですが、今も全く色あせぬ不朽の名作だと思います。映画も原作も素晴らしいので2度楽しめました。原作小説は難しくて初見では挫折しましたが、映画を見てから再度チャレンジして楽しんで読み進める事が出来ました。

映画の方は、私はアマゾンプライムビデオの会員特典で見られました。
既に映画を見た方も多いかも知れません。記事内にはネタバレ内容も含めましたが、まだ見ていない方はネタバレせずにご覧になる事をおすすめ致します。しかしネタバレがあっても楽しめる素晴らしい作品だとは思います。少し時間が経ったらまた見たいなと思えた作品です。そんな素晴らしい作品に出会えて良かったです。

訳本もあるので日本語版の本を読んで内容を把握してから洋書にチャレンジするのもアリだと思います。以下の「ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編」に収録されている、「刑務所のリタ・ヘイワース」が「ショーシャンクの空に」の原作です。

ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)|スティーヴン キング (著), 浅倉 久志(翻訳)
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おわり

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