Culture

洋書ホラー|The Housemaid~2022年全米ベストセラー小説で英語多読

(2023.11.4)

この本はこんな方におすすめ
・洋書のホラー小説を読んでみたい方。
・英語学習中級者向け。目安はTOEIC800点位。

記事の概要
・2022年の全米ベストセラーのホラー小説、The Housemaid(by Freida McFadden)を読みましたので、本の概要、あらすじ、登場人物一覧、英語の難易度などをまとめます。
・シンプルな英語で書かれており読みやすいですが、しっかり怖くて先が気になってどんどん読み進められ、おすすめです。
・怖さの種類はいわゆるヒトコワ系で、胸糞の悪くなる様なストーリー展開でした。
・書籍から実際の英文を一部引用して和訳します。洋書を読むかどうか判断する参考にして頂ければと思います。

1.はじめに~The Housemaidは2022年の全米ベストセラーのホラー小説

2022年に出版され全米でベストセラーとなったホラー小説、The Housemaid(by Freida McFadden)を読みました。この記事では、本の概要、あらすじ、登場人物一覧、英語の難易度などをまとめます。
作者のFreida McFadden氏は脳外科医を本職としながらも、数々のベストセラーを生み出している女性作家です。プロの作家の洋書と比べると、英語の文体に良い意味でこだわりを感じない感じです。普通で癖が無く読みやすくて、第2言語として英語を学習している者にとってはとても丁度良い読み物です。
ストーリーも一見ありきたりなサイコスリラーに見えて、意外性もあり非常に引き込まれるものです。怖さとミステリアスさが相まって、先が気になって夢中で読み進められます。多読による英語学習に必要な要素を満たしており、超おすすめの一冊です。

2.本の概要|The Housemaid by Freida McFadden

題名 The Housemaid
著者 Freida McFadden
ジャンル ホラー小説
psychological thriller
出版社 Bookouture
出版年月日 2022年4月26日
ページ数 352ページ
The Housemaid|Freida McFadden (著)
created by Rinker

・あらすじ

前科があるがそれを隠して職を探している主人公のMillie(Wilhelmina Calloway)は日産のボロ車で車中生活をしていた。レストランのウェイターの仕事をクビになり、ダメもとで受けた富豪の家の家政婦の仕事の面接にのぞんだ。
ほとんどの面接先では経歴確認をされ、犯罪歴がばれて不採用となっていた。しかし、その豪邸で会ったNina Winchesterとは意気投合。面接は万事うまくいき、数日後に無事採用された。
晴れて大豪邸での住み込みの仕事が始まった。給料も良かったので言う事なしと思われたが、Millieが住み込む事になった屋根裏部屋(Attic)は薄暗く不穏な空気で嫌な感じがしたが、車内生活よりはずっとましだと思って気にせず新しい生活を始めた。
ところが雇い主のNinaは言う事がコロコロ変わったり、理不尽な内容で怒られる事が多く、Millieはストレスのたまる日々を強いられた。更に娘のCecelia(Cece)はホラー映画から飛び出してきたような不気味な雰囲気で、フリフリの服を着た生意気な少女でMillieに度々意地悪をした。唯一の救いはNinaの夫で大富豪のAndrewだった。ハンサムで欠点が見当たらない完璧な男性で、Millieは魅かれていた。
ある日バスルームの掃除中にMillieはNinaの向精神薬を見つけ、少しずつWinchester家の秘密を知る事になり、恐怖の渦に巻き込まれていく事になる。

The Housemaidはホラー小説ですが、怖さの種類で言うといわゆる「ヒトコワ系」です。幽霊や超常現象は出てこず、人間の心理の異常性を描いたストーリーとなっており、怖さと気持ち悪さ、胸糞の悪さが満載です。一見ありきたりな物語の設定ですが、短いチャプターごとに小気味よくストーリーが進んでいき、意外と先が読めないです。それだけに続きが気になって夢中で読めてしまいます。多読には最適な一冊です。

・主要登場人物

Millie (Wilhelmina Calloway):主人公の女性。前科を隠してWinchester邸で家政婦として働き始めた。
Nina Winchester:Andrewの妻。家政婦のMillieにきつく当たる。
Andrew Winchester:Ninaの夫。事業で成功した大富豪。ハンサム紳士で欠点が見当たらない。
Cecelia Winchester (Cece):Ninaの娘。不気味な雰囲気があり、Millieに意地悪をする。
Enzo:Winchester邸の庭を整備しているイタリア人。英語はほとんどしゃべれない。

The Housemaidの登場人物は基本的に上記5人のみです。物語はほとんどWinchester邸で展開するので、話のあらすじが分からなくなる心配はほぼありません
洋書を読んでいると舞台や、人物がコロコロ変わって物語の中で迷子になってしまう事がありがちですが、このThe Housemaidではその様な心配はありません。それでいて退屈しないストーリーなので、とてもおすすめです。

・洋書の英語レベル、難易度

Freida McFaddenのThe Housemaidは、全体的に読みやすい文体で書かれております。352ページのボリュームがありますが、物語の面白さから先が気になって難なく読み進められましたTOEICスコアの目安で言うと800点位で、英語多読中級者向けとなります。
多読界隈では有名なアメリカ人作家のシドニィ・シェルダンは”Pager Turner”の異名を持ち、夢中になれるストーリーとシンプルな英語文体で、読者がどんどんページをめくりたくなるスタイルで知られていますが、Freida McFaddenからもそれを彷彿させるものを感じられます

・本の感想~英語多読でのおすすめ度は星5/5つ中

Freida McFaddenのThe Housemaid英語多読学習教材としてのおすすめ度は満点の5つ星です。引き込まれるストーリーとシンプルな文体で夢中になって読み進められました。分からない単語が時々あったとしても、意味を推測しながら読み進められたので、楽しみながらスムーズに読んでいく事が出来ました。
The Housemaidは2022年に出版された小説ですので、現代の感覚で書かれており、物語がすっと入ってくる感じがします。物語の中でスマホが重要な役割をするシーンもありましたし、生活スタイルや言葉が、現代のものなので違和感なくすっと入ってきて、最新のアメリカの雰囲気に触れられます。

英語多読学習において私は歴史的名作を簡単な英語に書き直した編纂版を読む事が多いのですが、この様な最近の小説を原文のままで普通に楽しめる体験はそれだけで感動的でしたし、テンションが上がりました。
ホラー小説としてはいわゆるヒトコワ系で、幽霊や超常現象が起こらない点も個人的に好感が持てました。The Housemaidの続編のThe Housemaid’s Secretという作品も出版されており、そちらもすぐに購入しました。
The Housemaidは、Amazonで20万件近くの評価が付いており、軒並み高評価のヒット作なので、いつか映像化されるのではないかと期待しています。和訳版が出れば日本でも人気になりそうなのでいつか出れば良いなと思っています。

3.書籍から英文引用・和訳|The Housemaid by Freida McFadden

この章ではThe Housemaidから実際の英文を引用して和訳していきます。洋書の世界観を少しだけ感じて興味を持って頂けたらぜひ読んでみて下さい

✅冒頭の面接シーンから

“Tell me about yourself, Millie.” Nina Winchester leans forward on her caramel-colored leather sofa, her legs crossed to reveal just the slightest hint of her knees peeking out under her silky white skirt. I don’t know much about labels, but it’s obvious everything Nina Winchester is wearing is painfully expensive.

McFadden, Freida. The Housemaid: An absolutely addictive psychological thriller with a jaw-dropping twist (English Edition) (p.9). Bookouture. Kindle 版.

「あなたの事を教えて、Millie」
Nina Winchesterはキャラメル色のレザーソファーに前のめりに座り、足を組んでいたので白いシルクのスカートから膝がかすかに覗いていた。ブランドは分からないが、彼女の服がどれも超高級なのは見るからに明らかだった。

✅不気味な屋根裏部屋(Attic)に住み込む事になったMillie。部屋を初めて見た時の場面から

“So what do you think, Millie? Do you like it?” I turn away from the window to look at Mrs. Winchester’s smiling face. I still can’t quite put my finger on what’s bothering me. There’s something about this room that’s making a little ball of dread form in the pit of my stomach.

McFadden, Freida. The Housemaid: An absolutely addictive psychological thriller with a jaw-dropping twist (English Edition) (p.14). Bookouture. Kindle 版.

「どう?Millie。気に入った?」その窓から振り返るとWinchester婦人(Nina)がほほ笑んでいた。この胸のざわつきの正体を私はまだ知らなかった。腹の奥から感じるこの恐怖、この部屋には何かある。

✅Ninaの娘、Ceceliaと初めて会ったMillieが感じた事

Do you know those movies about the scary cult of, like, creepy kids who can read minds and worship the devil and live in the cornfields or something? Well, if they were casting for one of those movies, this girl would get the part. They wouldn’t even have to audition her.

McFadden, Freida. The Housemaid: An absolutely addictive psychological thriller with a jaw-dropping twist (English Edition) (p.15). Bookouture. Kindle 版.

カルト映画でよくある、読心術と悪魔信仰を持つ不気味な子供で、トウモロコシ畑にでも住んでいる様なの、って言えば分かるかしら?もしそんな映画をつくるならこの娘はその役がピッタリよ。オーディションなんか必要ないくらいにね。

✅Ninaが夫のAndrewに暴力をふるった。心配するMillie

But what was going on in there? Is that really why there’s blood all over her nightgown? And where is Andrew? What if she killed him? What if he’s lying dead in the middle of the bedroom?

McFadden, Freida. The Housemaid: An absolutely addictive psychological thriller with a jaw-dropping twist (English Edition) (p.105). Bookouture. Kindle 版.

あそこで何が起きたの?彼女のナイトガウンが血だらけな理由は本当にそれなの?NinaがAndrewを殺してたら?Andrewがベッドですでに死んでいたらどうしよう?

✅その翌朝あっけらかんとしているNina

The next morning, Nina has morphed back into the more pleasant version of herself, having seemingly forgotten last night.

McFadden, Freida. The Housemaid: An absolutely addictive psychological thriller with a jaw-dropping twist (English Edition) (p.108). Bookouture. Kindle 版.

次の日の朝、Ninaは明るいバージョンの彼女に戻って、昨晩の事なんて忘れてしまったみたいだった。

4.さいごに

この記事では、Freida McFaddenのThe Housemaidについてまとめました。2022年に全米でヒットしたホラー小説で、現代の感覚と言葉、ライフスタイルに基づいて書かれているので、最近のアメリカ英語に触れながら物語を楽しめます複雑な設定がないにも関わらず意外性がある驚きのストーリー展開は見事で、読みやすい英語で書かれているので多読にはぴったりの小説です。とても気に入ったので続編のThe Housemaid’s Secretもすぐに購入しました。

ホラー小説なので、ジャンル自体で好き嫌いが分かれてしまう所はあるかもしれませんが、英語を学んでいる方で怖い話に抵抗がなければ、ぜひ手に取って頂きたい一冊です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。

第2章に戻って本の情報を見る

おわり

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