Culture

【英語多読】Lois Lowry著 ”Number the Stars”|ニューベリー賞作品

(2022.4.17)

記事の概要
・本記事ではLois Lowry(ロイス・ローリー)の”Number the Stars”(ふたりの星)を紹介します。
・書籍紹介、簡単なあらすじ、実際の英文抜粋・和訳をします。作品を読むかどうか判断するお役に立てれば幸いです。

1.はじめに

アメリカ人女性作家、Lois Lowry(ロイス・ローリー)著の”Number the Stars”(ふたりの星)を原語(英語)で読みました。1989年に発表されたヤングアダルト小説で、アメリカの優れた児童文学に送られるニューベリー賞の受賞作です。

本記事では”Number the Stars”の書籍紹介、簡単なあらすじ、英語の難易度、実際の英文の一部抜粋・和訳をしていきますので、実際に作品を読むかどうか判断する際の一助になればと思います。

2.書籍紹介|”Number the Stars” Lois Lowry

本章ではLois Lowry(ロイス・ローリー)著”Number the Stars”の書籍情報をご紹介します。

題名:Number the Stars (邦題「ふたりの星」)
著者:Lois Lowry(ロイス・ローリー)
出版社:Houghton Mifflin Harcourt
初版年:1989年
ページ数:137ページ
単語数:26,108語 (概算)

Number the Stars (English Edition)|Lois Lowry (著)
created by Rinker

・簡単な内容、ネタバレは無しで

本章では”Number the Stars”の内容を簡単に、ネタバレは無しで書いていきます。

舞台は1943年の第二次世界大戦中のデンマーク、コペンハーゲン。ドイツのナチス占領下にあります。デンマーク人のAnnemarieはユダヤ人のEllenと親友で、親子ぐるみで仲良くしていましたが、ナチスのユダヤ人迫害政策がデンマークにも次第に及び、逃亡を計画します。その中で主人公のAnnemarieが「本当の勇気とは何か?」を学んでいく少女の成長物語です。

歴史の裏に隠れたデンマークの静かな戦いが描かれたフィクションの良作だと思います。

もう少し突っ込んだ内容まで知りたいと言う方には、外部サイトになりますが、以下の記事をご覧になる事をおすすめ致します。
Your note 「洋書の多読におすすめ『Number The Stars ふたりの星』」

・洋書の難易度

Lois Lowry(ロイス・ローリー)著の”Number the Stars”(ふたりの星)は、ストーリーが分かりやすかったのであらすじを知らない状態からでも問題無く読めました。TOEICスコアで言ったら650~700点位からで読めるのではないかと思います。使われている単語には難解な言葉もありますが、ストーリーを見失う程難しい文章などは無かったかと思います。

以下、3章で実際の英文を抜粋・和訳しますので、そちらもご参考頂ければ幸いです。

・個人的に良かったポイント

”Number the Stars”はフィクションではありますが、歴史的事実をベースに書かれた小説ですので、デンマーク人のナチス占領に対する静かな抵抗の歴史が分かり、ある種の感銘を受けました。

主人公のAnnemarieが「本当の勇気は何か」を学んでいくメインストーリーももちろん良かったですが、個人的に一番印象的だったポイントは、デンマーク人の愛国心、国王への愛や忠誠心の深さでした。「デンマーク人は命をかけてでも王様を守る決意がある」といったセリフがありましたが、それがとても印象的でした。

・総括

まとめると、Lois Lowry(ロイス・ローリー)著の”Number the Stars”(ふたりの星)は、TOEICスコアで650~700点位の英語学習中級者の方におすすめなヤングアダルト小説です。

ヤングアダルト小説ですので、英語圏のネイティブの方からしたら中学生向け位の本という事になりますが、大人が読むにも堪えうるもので、考えさせられる物語になっております。

作者のLois Lowry氏。写真は書籍より。

3.英文抜粋引用、和訳

本章では”Number the Stars”の実際の英文を3つほど抜粋して和訳していきます。英文の難易度的に、原文で読めそうかどうか判断する指標になれば幸いです。

(1)ドイツ兵が街に常駐するコペンハーゲンの描写。
幼い少女の視点から描かれています。Kirstiは主人公Annemarieの妹です。

For Kirsti, the soldiers were simply part of the landscape, something that had always been there, on every corner, as unimportant as lampposts, throughout her remembered life.

Lowry, Lois. Number the Stars (pp.5-6). HarperCollins. Kindle 版.

Kirstiにとって、兵士たちは景色の一部でしかなかった。いつもそこにいて、どの曲がり角にもいて、物心ついてからの彼女の人生においては街灯と同じ位取るに足らないものだった。

📝lamppost:街灯

(2)ナチスの統治によって物資も制限がかけられていた事が分かる描写。

There had been no real coffee in Copenhagen since the beginning of the Nazi occupation.

Lowry, Lois. Number the Stars (p.6). HarperCollins. Kindle 版.

コペンハーゲンにはナチスの占領以来、本物のコーヒーはなかった。

(3)デンマーク人の愛国心が分かる主人公と父の会話。

“Yes,” he said at last. “It is true. Any Danish citizen would die for King Christian, to protect him.”

Lowry, Lois. Number the Stars (p.14). HarperCollins. Kindle 版.

「そうだ」と彼は言った、「全てのデンマーク市民はChristian国王を守るために命を落とすこともいとわない。」

4.さいごに

本記事では、Lois Lowry(ロイス・ローリー)著の”Number the Stars”(ふたりの星)の書籍紹介、簡単なあらすじ、英語の難易度、実際の英文の一部抜粋・和訳をしました。英語ネイティブの人からすれば中学生向け位のヤングアダルト小説だったと思いますが、シリアスなストーリーで、私の様なおじさんでも十分読みごたえがあり、楽しんで読める内容でした。

英語多読は何を読むか選ぶのが醍醐味でもありますが、逆に何を読めば良いか悩むこともあり難しい所でもあると思います。以前紹介した”Holes”という作品もそうでしたが、ニューベリー賞(アメリカの優れた児童文学の賞)受賞作は安定して素晴らしい作品が多く読みやすさも自分にとって丁度いいので、今後しばらくはニューベリー賞の受賞作を中心に読み漁っていきたいと思っています。

第2章に戻って書籍情報を見る

おわり

※”Number the Stars”は和訳本もあります。まずは日本語で内容を把握してから原文に挑戦してみるのもアリです。

ふたりの星 (子どもの文学―青い海シリーズ)
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<参考記事>
※こちらもニューベリー賞を受賞した冒険小説、”Holes”の記事です。英語多読の定番書籍。

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