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ロイス・ローリー ”The Giver”|英語多読定番のSF小説

(2022.5.21)

記事の概要
ロイス・ローリー(Lois Lowry)作のSF小説、”The Giver”(ザ・ギヴァー)を原書で読みました。本のあらすじ、感想、書籍から一部抜粋して和訳します。
・本を読むかどうかの判断材料になれば幸いです。
SF小説が好きな方で、英語多読で勉強したい方にはとてもおすすめです。

1.はじめに

英語多読学習の定番のSF小説、ロイス・ローリー(Lois Lowry)の”The Giver”(ザ・ギヴァー)を原書で読みました。

本記事では”The Giver”の簡単な内容、感想、英文の一部抜粋・和訳をしてご紹介していきます。英語の難易度を見て頂いて、本を読むかどうかの判断材料になればと思います。
英語を勉強している方で、SF小説好きな方には必読の書ですのでぜひチェックしてみて下さい。

2.書籍情報

題名:The Giver (邦題「ギヴァー 記憶を注ぐ者」)
著者:Lois Lowry(ロイス・ローリー)
出版社:Houghton Mifflin
初版年:1993年
ページ数:99ページ
単語数:43,139語

The Giver (Giver Quartet, Book 1)
created by Rinker

”The Giver”は、ジャンルで言うとヤングアダルト、SF小説、ディストピア小説、といったところになります。この小説が出版されたアメリカにおいてはヤングリーダー向けの小説ですので、中高生向けといった位置づけになります。”The Giver”は、アメリカの優れた児童小説に送られるニューベリー賞を1993年に受賞しています。

・物語のあらすじ(さわりのみ、ネタバレは無しで)

あらゆることが管理統制下に置かれ、何もかもが平穏で理想郷とも思えるコミュニティで暮らす主人公のJonasでしたが、そこには人間らしい色彩や感情、欲望が一切抑えられている。コミュニティのあらゆる記憶をつかさどる’’Receiver’’という役割を割り当てられたJonasは、Receiverとして大先輩のThe Giverと出会い、記憶を引き継いでいく。記憶の引継ぎが進むにつれ、真実に目覚めたJonasが取った行動とは…。

・英語の難易度

ロイス・ローリー(Lois Lowry)の”The Giver”(ザ・ギヴァー)の英語の難易度ですが、TOEICスコアで言うと750点位の方であればなんとか読み進めていけるのではないかと思います。アメリカやカナダでは教科書にも採用されている小説なので、比較的読みやすい英語で書かれていると思います。SFというジャンルでありながら、難しい語彙や特殊な言葉は特になかったので、英語多読学習にはおすすめです。

次章で実際の英文を抜粋・和訳しますので、そちらをご参照頂き、読めそうかどうか判断する指標にして頂ければと思います。

・おすすめする人

ロイス・ローリー(Lois Lowry)の”The Giver”(ザ・ギヴァー)の本は、以下の様な方におすすめです。

・英語を勉強している方で、SF小説好きな方
・100ページ程度のヤングアダルト小説の原書に挑戦してみたい方。
・TOEIC750点程度ある方で洋書に興味を持ち始めた方。
・映画版を見た方。

上記4つ目のポイントでふれた様に、’’The Giver’’は映画化されています。トレーラー動画がYouTubeにあがっていましたので以下に貼り付けます。

URL:https://www.youtube.com/watch?v=xvp6FnYWRZU
チャンネル名:Movieclips Trailers

・本の感想~英語多読にはおすすめ

ロイス・ローリー(Lois Lowry)の”The Giver”(ザ・ギヴァー)を実際に読んでみて、最初の前半の2~3割位までは、独特の世界観の説明や友人関係での出来事などの描写で、少し退屈だと感じました。しかし、主人公のJonasがReceiverに任命され、The Giverと出会ってからは驚きと興奮を伴ってどんどんページをめくっていける感じで読めました。こういった「感情を伴った読書」は英語多読学習においてとても重要な事だと思いますので、’’The Giver’’はとてもおすすめです。
私はロイス・ローリーのもう一つのニューベリー賞受賞作である”Number the Stars”も読みましたが、作品のテーマ、特に結末の部分に共通するものを感じました。抑圧から逃れようとするテーマは、作者の生い立ちから来るものなのだろうなと思いました。

私が購入したKindle版の’’The Giver’’の巻末には、同作でニューベリー賞を受賞した際の作者のスピーチが掲載されていました。そこでロイス・ローリー氏は幼少期の日本での生活について語っていました。彼女は父親の仕事の都合で日本で暮らした時期がありました(終戦後間もない1948年から1950年までの期間)。場所は東京渋谷区のワシントンハイツという在日米軍施設です。現在で言う代々木公園や国立代々木競技場のある辺りです。
参考:Wikipedia「ワシントンハイツ (在日米軍施設)

そこで彼女は閉鎖された狭いコミュニティの中での閉塞感を母親に訴えますが、母親には理解されず、「こんなに住みやすい所は無いわよ」的な事を言われてしまいます。彼女は壁に囲まれた閉塞的な空間をこっそり抜け出し、少しのスリルを感じながら日本の街並みを歩いていた様です。この様な出来事が現体験となって、’’The Giver’’の物語が生まれたのだろうな、と想いをめぐらせると作品が更に奥深く感じられると思います。

もう一つ、Kindle版の巻末には中高生向けと思われるWorkshopがついていました。例えば「ユートピアとディストピアの定義についてグループで議論しなさい」とか、
「物語中の難解な単語を挙げて意味を推測してみなさい」といったものです。
アメリカの学校の授業のグループワークやディベートの風景が思い浮かぶ様で、巻末を読むのも面白かったです。英語ネイティブの国では学生の教科書にもなる様な本である’’The Giver’’ならではの楽しみだと思います。

英語を勉強している方で、少しでも興味を持たれた方はぜひ一読をおすすめ致します。

3.書籍から抜粋引用・和訳

本章では’’The Giver’’から実際の英文を一部抜粋して和訳していきます。洋書にチャレンジするかどうか判断する指標になればと思います。

✅まずは「コミュニティ」のルールの一部から。何の温かみも感じられない家族形成のルール。

Two children— one male, one female— to each family unit. It was written very clearly in the rules.
Lowry, Lois. The Giver (Giver Quartet, Book 1) (p.5). HarperCollins. Kindle 版.

それぞれの家族単位に対して子2人(男の子1人、女の子1人が与えられる)。これは(コミュニティの)規則に明確に記載されている。

✅得体の知れない職業、’’Receiver’’についての記述。

The Receiver was the most important Elder. Jonas had never even seen him, that he knew of; someone in a position of such importance lived and worked alone.
Lowry, Lois. The Giver (Giver Quartet, Book 1) (p.8). HarperCollins. Kindle 版.

「レシーバー」は最も重要な年長者である。Jonasは彼に会った事はないが、知っているとすればその様な重要な役割の人は孤独に生活をしている事くらいだ。

✅続いては巻末の作者のニューベリー賞受賞スピーチから引用。渋谷区で過ごしていた時の事を語っています。

I wander through Shibuya day after day during those years when I am eleven, twelve, and thirteen. I love the feel of it, the vigor and the garish brightness and the noise, all of it such a contrast to my own life.
Lowry, Lois. The Giver (Giver Quartet, Book 1) (p.96). HarperCollins. Kindle 版.

11、12、13才の頃に、日々渋谷をうろうろと散策しました。私はその活気、強い輝きや騒がしい喧騒の感じが大好きで、その全てが人生の彩りになっています。

📝vigor:活力、活気
📝garish:派手な

✅こちらも巻末から。学校の授業でのワークショップを想定したディスカッションの課題。

Define utopia and dystopia. Ask students to share novels they have read that represent a utopian and dystopian community.
Lowry, Lois. The Giver (Giver Quartet, Book 1) (p.96). HarperCollins. Kindle 版.

ユートピアとディストピアを定義せよ。生徒同士で、自身が今までに読んだユートピア/ディストピアコミュニティをテーマにした物語について話し合いなさい。

・日本語版もあります

ニューベリー賞受賞作で、根強い人気でファンの多い’’The Giver’’ですので、当然和訳本もあります。100ページ程度の短い本ですから、日本語でさくっと読んで物語を把握してから洋書にチャレンジしてみる順番もありです。気になる方は以下をクリックしてご購入ください。

ギヴァー 記憶を注ぐ者
created by Rinker

4.さいごに

本記事ではロイス・ローリー(Lois Lowry)の”The Giver”(ザ・ギヴァー)について詳述しました。この物語は実は’’The Giver”だけで完結しておらず、4部作で続きがあります。ギヴァー4部作(Giver Quartet)と呼ばれています。参考までに以下にリンクを貼り付けておきます。

Gathering Blue (The Giver Quartet) (The Quartet Book 2)
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Messenger (Giver Quartet, Book 3)
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Son (The Quartet Book 4)
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”The Giver”は英語多読界隈では鉄板の定番書籍なだけあって、楽しみながら読んでいく事ができましたし、読みごたえも十分です。読後感も「おーっ」と良い意味で唸ってしまう様な感じでした。英語を学習している方であれば読んでおいて損はない一冊だと思います。

本記事がお役に立てば幸いです。

おわり

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