Culture

ガリバー旅行記で英語多読~小人、巨人、ラピュタ、馬の国 (Oxford Bookworms Library版)

(2023.8.20)

記事の概要
・アイルランドの作家、ジョナサン・スウィフトの「ガリバー旅行記」(Gulliver’s Travels)(1726年)のOxford編纂版を読みましたので、本の概要、あらすじ、英語の難易度などをまとめます。
架空の島の位置を示す地図画像を掲載します。読書の助けになれば幸いです。また、物語のリアリティが増し想像が膨らみます。
書籍から実際の英文を一部引用して和訳します。洋書を読むかどうか判断する参考にして頂ければと思います。
・名作を読みやすく編纂したOxford Bookworms Libraryの中のレベル4です。読みやすいですが、英語学習中級向けだと思います。

1.はじめに

アイルランドの風刺作家ジョナサン・スウィフトの小説「ガリバー旅行記」(Gulliver’s Travels)(1726年)を短く、平易な英語で編纂されたOxford Bookworms版で読みました。この記事では、本の概要、あらすじ、英語の難易度などをまとめます。また、これから読もうと思っている方に役立つ主人公の航海地図も掲載します。
更に、書籍から英文を一部引用して和訳します。架空の島を冒険する小説の世界を少しだけ味わって頂ければ幸いです。

・オックスフォードブックワームとは~Oxford Bookworms Library

イギリスのオックスフォード大学の出版局、Oxford University Pressが出しているオックスフォードブックワーム(Oxford Bookworms Library)のシリーズは、英語学習者がレベルに合わせて本を選べる様に編纂されたシリーズです。ブックワームなので、「本の虫」という意味です。ボキャブラリーや本の長さ、文法レベル等に応じてレベル分けされており、英語学習者からの高い評価を得ております。
今回読んだガリバー旅行記はOxford Bookworms Libraryのレベル4に分類されてます。この様な古典の名作の数々を平易な英語、かつ丁度良いボリューム感で読めるのでとてもおすすめです。

→Oxford Bookworms Libraryに関する、オックスフォード大学出版の日本語公式サイトはこちらをクリック

2.本の概要|Gulliver’s Travels (ガリバー旅行記)

題名 Gulliver’s Travels
Level 4 Oxford Bookworms Library
邦題「ガリバー旅行記」
著者 編纂 Clare West
イラスト:Nick Harris
Maps by: Martin Ursell
オリジナル版 Jonathan Swift著 (1726年)
ジャンル 風刺小説
出版社 Oxford University Press
出版年 2012年
ページ数 101ページ
単語数 15,325 words

参考:Wikipedia ガリヴァー旅行記

Gulliver’s Travels Level 4 Oxford Bookworms Library
created by Rinker

・あらすじ

主人公のGulliverはイギリスのNottinghamshireで生まれた。裕福な家ではなかったが真面目な親に育てられ、ケンブリッジ大学に行き医者になった。かねてより冒険に憧れ、旅に出たかったガリバーは船医として船に乗る様になっていた。妻のMaryとの結婚からしばらくは自制していたが、我慢できずに本格的な冒険の旅に出始めた。

度重なる船の長旅の中で何度もトラブルに遭遇し、遭難した先は不思議な島ばかり。小人の国、巨人の国、空飛ぶ島、マジシャンの島、不老不死の島、馬が支配する国など。
現代文化から隔絶されたそれらの島で数年暮らして異文化に適応していくガリバーは、次第に嘘や欺瞞・争いの絶えない人間社会へ疑問を抱き、不信を感じる様になる。
数々の冒険を経て妻子の待つ家庭に無事戻れたガリバーだったが…。

・航海地図~主人公の旅の軌跡

ここでは主人公Gulliverが旅した架空の島々の地図を示していきます。
冒険の軌跡が分かりますので、これから本を読む方のお役に立つものかと思います。

小人の国、Lilliput (リリパット)

1699年5月4日、イギリスのブリストルから船に乗ったGulliver。大西洋に出てアフリカ大陸を回ってインド洋に出た。太平洋を目指して航海を続けたが、嵐にあいタスマニアの北西に流された。

オーストラリア北西あたりに位置する小人の国リリパット

そこは小人の島だった。15センチ程度の小人達に捕らわれたガリバーだったが、王様達に気に入られ、Man-Mountainと呼ばれて島の人たちから親しまれた。

1701年9月24日に脱出。1702年4月13日に家族の所に戻った。

巨人の国、Brobdingnag (ブロブディンナグ)

1702年6月20日、イギリスのブリストルからインドに向けて出発。南アフリカのCape of Good Hope(喜望峰)→マダガスカル島からインド洋に入った。インドネシアのMolucca Islandsから嵐にあって流された。

アメリカ北西につながるBrobdingnag(ブロブディンナグ)に漂着

1703年6月16日、仲間に置き去りにされる形でBrobdingnagに上陸したが、そこは巨人の国だった。今度は自分が小人になった事で様々な苦労をした。ここでも王族に気に入られ、2年間生活した。

思わぬ形で脱出する事が出来、1706年6月3日にブリストルに戻った。

空飛ぶ島Laputa(ラピュタ)、Balnibarbi(バルニバービ)、Luggnagg(ラグナグ)、Glubbdubdrib(グラブダブドリッブ)

ブロブディンナグから家に帰った10日後にガリバーはまた旅に出た。今度は東インドを目指した。そこからマレーシア→トンキン湾で嵐に遭遇し、更に東に流され海賊に捕まった。ボートに1人置き去りにされたガリバーは島をみつけ上陸した。そこは飛行する島ラピュタだった。

Balnibarbiの上空を飛行する島がラピュタ

Laputa(ラピュタ):Balnibarbi(バルニバービ)の上空を飛行する島。人々は数学と音楽にしか興味がない。

Balnibarbi(バルニバービ):ラピュタの下にある島で、人々は貧しくみすぼらしい生活をしていた。しかし非常に賢い人々で、地球の未来の問題を解決するアイディアを持っていた。

Luggnagg(ラグナグ):不老不死がいる島。

Glubbdubdrib(グラブダブドリッブ):マジシャンの島。人々は幽霊を召使いにしている。ガリバーは歴史的偉人の幽霊を呼んでもらい会話をした。

5年半これらの島で暮らした後、Luggnaggから日本→イギリスへ戻った。

馬の国、Houyhnhnms(フウイヌム)

1710年9月7日、インド洋を目指し航海に出たGulliver。南アフリカの喜望峰(The Cape of Good Hope)を出た所で手下に船を乗っ取られ、インド洋のど真ん中の島に置き去りにされた。

オーストラリアのかなり西側、Houyhnnhnms

そこは馬が最も賢い国で、馬が支配する国フウイヌム(Houyhnnhnms)だった。そこでは人間はYahooと呼ばれ、とても醜く、馬の召使いをしていた。とても平和な国で、嘘や戦争という概念自体が無かった。フウイヌムで暮らしていく内に、人間に対する考え方を変えていくガリバー。

・洋書の英語レベル、難易度

オックスフォード編纂版のGulliver’s Travels (ガリバー旅行記)の洋書の英語は読みやすかったです。時々知らない単語があっても、単語の意味を推測しながら読み進めていけるレベルでした。
オックスフォード大学出版の公式サイトの情報によると、英検2級~準1級レベルです。英語学習中級くらいの方であれば、楽しんで読めるのではないかと思います。

・本の感想~英語多読でのおすすめ度は星5/5つ中

オックスフォード編纂版のGulliver’s Travels (ガリバー旅行記)の洋書の英語多読学習教材としてのおすすめ度は満点の5です。
ガリバーの架空の島への冒険は想像力をかきたてられ、スリルを感じながらどんどん読書を進められました。個人的に英語の難易度や長さ(101ページ)が丁度良く、程良く張り合いがあるのも良かったです。多読による英語学習にぴったりだと思いました。楽しかったので、すぐに2回読みました。2回目も非常に楽しめました。

3.書籍から英文引用・和訳|Gulliver’s Travels (ガリバー旅行記)

ここでは書籍から原文を引用して、和訳していきます。洋書にチャレンジするか検討する材料にして頂ければ幸いです。

✅ずっと旅をしたかったガリバー

When I left college, I continued my studies and became a doctor. But I always wanted to travel, and so I made several voyages as a ship’s doctor. When I married my wife Mary, however, I planned to stay at home for a while.

Swift, Jonathan. Gulliver’s Travels Level 4 Oxford Bookworms Library (English Edition) (p.8). Oxford University Press. Kindle 版.

大学を離れた時、私は勉強を続け医者になった。しかしずっと旅をしたいと思っていたので、船医として何度か旅に出た。妻のMaryと結婚した時、しばらくは家にいようと思っていた。

✅また旅に出る事を決めたシーン

I decided to go to sea again, and this time I joined a ship sailing to the islands in the South Pacific Ocean. We started our journey from Bristol on May 4th, 1699.

Swift, Jonathan. Gulliver’s Travels Level 4 Oxford Bookworms Library (English Edition) (p.8). Oxford University Press. Kindle 版.

私はまた海に出る事にした。今回は南太平洋へ航海する船に乗った。1699年5月4日、私たちはブリストルから出発した。

✅リリパットの小人達がガリバーを見て驚く

They were surprised at how much I could eat and drink. In just one mouthful I ate three of their meat dishes and three of their loaves of bread.

Swift, Jonathan. Gulliver’s Travels Level 4 Oxford Bookworms Library (English Edition) (p.10). Oxford University Press. Kindle 版.

彼ら(小人達)は、私が飲み食いする量に驚いていた。たった一口で、私は彼らの3人分の肉料理とパンを食べた。

✅巨人の国、Brobdingnag (ブロブディンナグ)に上陸した際のガリバー

In fear and astonishment I hid in the corn, and hoped he would not notice me. He shouted in a voice like thunder, and seven other giants appeared.

Swift, Jonathan. Gulliver’s Travels Level 4 Oxford Bookworms Library (English Edition) (p.34). Oxford University Press. Kindle 版.

恐怖と驚きの中、私はトウモロコシ畑の影に隠れ、彼(巨人)がこちらに気づかない様に願った。彼が雷の様な声で叫ぶと、7人の他の巨人も現れた。

✅飛行する島、ラピュタ(Laputa)の人々について

Laputans are certainly strange-looking people. Their heads always turn either to right or left: one of their eyes turns inwards, the other upwards. Their main interests are music and mathematics. They spend so much time thinking about mathematical problems that they do not notice what is happening around them.

Swift, Jonathan. Gulliver’s Travels Level 4 Oxford Bookworms Library (English Edition) (p.61). Oxford University Press. Kindle 版.

ラピュタの人々は変わった外見である。頭はいつも右か左のどちらかに傾いていて、眼球は片目は上を向きもう片方は下を向いている。彼らの主な興味は音楽と数学だ。彼らはほとんどの時間を数学の問題を考える事に費やしており、身の回りで何が起きているか気が付かない程なのだ。

✅馬の国、Houyhnhnms(フウイヌム)について

In this country, horses, not people, were in control. I started learning a little of their language. Their word Houyhnhnm means a horse, and the word itself sounds very like the noise a horse makes.

Swift, Jonathan. Gulliver’s Travels Level 4 Oxford Bookworms Library (English Edition) (p.73). Oxford University Press. Kindle 版.

この国ではヒトではなく、馬が支配していた。私は彼らの言語を学び始めた。Houyhnhnmという単語は彼らの言語で馬を意味し、発音は馬がいななく音の様だった。

4.さいごに

この記事では「ガリバー旅行記」(Gulliver’s Travels)(1726年)の、Oxford編纂版の
本の概要、あらすじ、英語の難易度、本文から引用・和訳してまとめました。
実際の地図の中に架空の島があり、そこで冒険物語が繰り広げられるのは想像が膨らみとても楽しく読んでいく事が出来ました。また、冒頭では自国のイギリスに誇りを持っていたガリバーでしたが、人類とは全く異なる考え方や文化に触発されて、思想が変わっていく様子も非常に興味深く、考えさせられる内容でした。
旅や冒険のワクワクだけでなく、人間の歴史や営みについても考えさせられ、いろんな感情が生まれるので、多読による英語学習にはとてもおすすめの一冊です。
最後まで記事をお読み頂きありがとうございました。

第2章に戻って書籍情報を見る

おわり

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