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吉田正尚の活躍への現地反応~実力はホンモノか?|MLB (週間MVP)

(2023.5.14)

記事の概要
・今シーズン(2023年)から大リーグのボストン・レッドソックスに大型契約で移籍した吉田正尚選手についての記事です。
・日本での活躍、選手としての特徴、成績、MLBで1ヶ月プレーしての状況を動画を交えてまとめます。
・MLBでの活躍を受けた現地の英語記事を引用・和訳していきます。吉田選手の現地評価を見つつ、英語学習に役立てて頂ければ幸いです。

1.はじめに~吉田正尚がボストンレッドソックスに移籍

今年オリックス・バファローズからボストン・レッドソックスへ移籍した吉田正尚選手がルーキーイヤーから活躍しており、注目を集めています。先日5月1週目のア・リーグ週間MVPにも選出され、ますますその活躍から目が離せません。
そんな吉田選手の実力はホンモノなのか?という興味深い考察記事がMLB公式サイトにアップされていました。この記事ではMLBの英語記事から引用し、和訳していきますので、
吉田選手の活躍が米国現地でどう見られているのかが分かります。
吉田選手の日本時代も含めたこれまでの活躍や選手としての特徴をカッコいい動画を交えつつ、紹介していきます。楽しみながら情報を得つつ、英語の勉強もしていきましょう。

2.吉田正尚の日本での活躍・動画

この章では吉田正尚選手の日本時代の活躍を振り返ります。数字を見ていくと吉田選手が天才と言われる所以が良く分かります。

・2022日本シリーズでサヨナラホームラン

動画タイトル:第5戦ゲームハイライト -SMBC日本シリーズ2022-
YouTubeチャンネル:日本野球機構(NPB)公式チャンネル
URL:https://youtu.be/1Uj_-AJhdm0

2022年、吉田選手にとってMLB移籍前の最終年にオリックスで日本シリーズに進出し、第5戦目でそれまで劣勢だったチームを勢いづけるサヨナラホームラン。その後のシリーズの流れを決める値千金の一発でした。豪快なフォロースルーが最高にカッコいい。
この勢いからオリックスは勝利を重ね、日本一に輝いたのは言うまでもありません。

・オリックス日本一から文句なしのMLB移籍

2022年のオリックス・バファローズは吉田選手の活躍もあって、26年ぶりの日本一に輝きました。1996年のイチロー選手が在籍していた時代以来の快挙でした。7年間オリックス一筋で日本一の立役者となった吉田正尚選手のメジャー移籍ですから、文句なしと言って良いでしょう。

・契約内容

そんな吉田正尚選手と契約したMLBの球団は、古豪であり名門のボストン・レッドソックスでした。エージェントはかの有名なスコット・ボラス代理人で、契約内容は5年総額年俸9000万ドル(日本円にして約123億円)というもの。時代が違うとは言え、イチロー選手と同等の日本人メジャーリーガー歴代3位の大型契約となり、その価値に見合う選手なのかとアメリカをもざわつかせました。
※ちなみに歴代2位はダルビッシュ有投手で、1位は田中将大投手です(2023年時点)。

・NPBでの通算打率とOPS

吉田正尚選手の日本プロ野球での通算成績はオリックスでの7シーズンで、通算打率.327、OPS.960と驚異的なものです。主要タイトルは首位打者2回(2020、2021)、OPS首位2回(2021、2022)です。意外な事にホームラン30本以上を打ったシーズンはありません。いわゆる中距離砲といった感じの成績です。

・WBC打点王

吉田正尚選手の活躍で記憶に新しいのがWBCの第5回大会です。準決勝のメキシコ戦の7回裏にJ・ロメロ(STLカージナルス所属)投手から放った3ランホームランは日本中が興奮の渦に包まれました。値千金の同点弾で日本チームを救い、決勝進出に導きました。

吉田選手はこの大会の7試合で打率.409、2本塁打、13打点、OPS1.259と、圧倒的な活躍をしました。13打点はWBC歴代最多打点で、2017年大会のウラディミール・バレンティン(オランダ、当時ヤクルト)の記録(12打点)を超えました。野球世界一を決める大会で歴代最多打点をマークした訳ですから、ある意味世界一の打者と言っても過言ではない訳です。
それにしても、MLB移籍1年目でのWBC出場は異例だと思いました。MLB球団は選手を資産として捉え、自分たちの球団にとって直接プラスにならないこの大会には大切な選手を出したくないのです。にも関わらず獲得したばかりで未知数の吉田選手を球団側(レッドソックス)が出場許可したのは英断だったと思います。

3.吉田正尚の特徴~小柄な体からフルスイングでシュアなバッティング

吉田選手の代名詞といえば豪快なフルスイングだと思います。ホームランを打った時のフォロースルーがとてもカッコいいです。野球選手としては小柄な172cmという体でフルスイングしていくスタイルのバッティングです。最も特徴的なのは、フルスイングしているにも関わらず三振が非常に少ない点です。2020年には打率.350で首位打者を獲得、OPS.966をマークしたにも関わらず、規定打席到達者で三振が最も少なかった(29個)という成績を残しました。100マイル前後の速球を投げるピッチャーがゴロゴロいるMLBに素早くアジャストできたのも、フルスイングしても確実にコンタクトできる高い技術の賜物と思われます。

小柄な体でフルスイングするスタイルは、ケガだけが心配です。2017年には持病の腰痛のヘルニア除去手術をしています。

上手く休みを取りながら無理せず1年目のシーズンを通して戦って欲しいです。

4.吉田正尚のMLB成績(40試合終了時点)

レッドソックスは40試合終了(記事執筆時点)とまだまだ2023シーズン序盤ではありますが、吉田選手の成績を見ていきます。33試合に出場して打率.307、本塁打6本、打点24、出塁率.390、OPS.894と素晴らしい成績です。4~5月にまたがって記録した16試合連続安打は2023シーズンの現段階では最長記録となっています。

・ア・リーグ週間MVP獲得

連続試合安打などの活躍が目覚ましかった吉田選手は5月1週目のア・リーグ週間MVPに選ばれました。対象期間の成績は打率.480、2本塁打、8打点、OPS1.319と圧倒的なものでした。

・グリーンモンスター越えのホームラン

ボストン・レッドソックスと言えば、ホーム球場のフェンウェイ・パークのレフトスタンドの高いフェンス、通称「グリーンモンスター」です。4月3日の試合で吉田選手初のグリーンモンスター越えのホームランが生まれました。

 

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日本人の左打者でグリーンモンスター越えのホームランを打ったのは、岩村明憲選手(2008年に2本)、大谷翔平選手(2021年)以来です。

5.英語記事引用・和訳~海外の反応・評価「吉田正尚はホンモノか?」

本章では、“Is Yoshida for real? Here’s what the advanced stats say”(ヨシダは本物か?先進的指標が示すもの)という英語記事から引用して和訳していきます。吉田選手のここまでの活躍がどの様に海外から見られているのかが分かります。アメリカの高度な成績分析手法がとても興味深いです。吉田選手の興味深い数字を見ていきつつ、英語を勉強していきましょう。

引用元:MLB公式サイト(mlb.com)
引用記事タイトル:Is Yoshida for real? Here’s what the advanced stats say (May 9th, 2023, by Cole Jacobson)
URL: https://www.mlb.com/news/masataka-yoshida-turnaround-metrics

✅4月の不調を乗り越えた吉田選手。4月20日以前と以降の成績比較

Yoshida’s advanced hitting metrics before vs. since April 20, 2023
・.182 expected batting average vs. .403 xBA
・.275 expected slugging percentage vs. .730 xSLG
・.271 weighted on-base average vs. .517 wOBA
・85.1 mph average exit velocity vs. 93.0 mph
・21.5% whiff rate vs. 10.5% whiff rate
・-5.1 degree average launch angle vs. 5.9 degrees
・32.6% hard-hit rate vs. 59.3% hard-hit rate
・1.7% barrels/PA vs. 12.7% barrels/PA

ヨシダの先進打撃指標、4月20日以前 vs. 以降
・打率の期待値:.182 vs. .403
(xBAは、実際の打率ではなく、打撃内容から算出する期待値。劇的に改善。)
・長打率期待値:.275 vs. .730
(xSLG. こちらも上記と同様で、期待値。)
・得点貢献率 :.271 vs. .517
(wOBA. 1打席当たりの打撃による得点貢献の指標。)
・平均打球速度:85.1mph vs. .93.0mph
(km/h換算で、約137キロから約150キロに平均打球速度アップ。)
・空 振 り 率 :21.5% vs. 10.5%
・打 球 角 度 :-5.1度 vs. 5.9度
・強 打 率 :32.6% vs. 59.3%
(強い打球を打ち返す確率。)
・バ レ ル 率 :1.7% vs. 12.7%
(理想の打球速度と角度で打ち返す確率。)

※上記指標を見ると全ての指標が劇的に改善している事が分かります。

✅打撃フォームをオープンスタンス気味に変更

Entering a three-game series in Milwaukee from April 21-23, Yoshida, following some consultation with the coaching staff, opened up his batting stance. A slight adjustment led to him seeing the ball far better than he was earlier in the season. Hence the numbers you saw above: Yoshida is not only making contact more often, but also making harder contact when getting the bat on the ball.

ミルウォーキーでの3連戦(4月21~23日、対ブリュワーズ戦)に入り、吉田はコーチと相談し、指示に従って(打撃時の足の)スタンスを広げた。ちょっとした調整により、シーズン序盤よりも吉田はボールがはるかに見やすくなった。上記数字が表す通り、吉田はコンタクト率が上がっただけでなく、バットに当たった際の強打も増えたのだ。

✅ボール球を振らないので四球を選べる。高いコンタクト率

While Yoshida’s ability to hit for power has improved over the course of his hit streak, his elite plate discipline has been on display since Day 1. Yoshida has only struck out on 8.5% of his plate appearances, the fourth-lowest rate among 188 players with 100-plus plate appearances. This is largely due to his selective approach at the plate, as he has only chased on 21.8% of pitches outside the strike zone — ranking in the 83rd percentile, well below the MLB average of 28.4%.

And even when he has chased, good things have happened. Yoshida has made contact on 79.2% of his swings to come on pitches outside of the zone, ranking fourth among 215 players with at least 50 such swings. When expanding to all pitches, Yoshida’s ability to make contact still stands out. His whiff rate of 16.0% ranks in the 91st percentile, much better than the MLB average of 24.7%.

連続試合安打が示す様に吉田のヒットを打つ力が改善していく一方で、吉田は当初から選球眼の良さも示していた。吉田の打席当たりの三振率はたった8.5%で、100以上打席に立った188選手の中で4番目に低い率である。これは彼の打席での(ボール球を振らない)アプローチによるところが大きい。ちなみに彼のストライクゾーンから外れた球のスイング率はたった21.8%で、83パーセンタイル(上位17%)、メジャー平均の28.4%を大きく下回っている。
(ボール球を)振りにいったとしても、良い結果の兆候が見られる。吉田はボールゾーンの球を振ったとしても、コンタクト率が79.2%で、ボール球50スイング以上のMLB215選手中4番目に位置している。(ボール、ストライクに関わらず)全てのボールにおいても、吉田のコンタクト能力は群を抜いている。空振り率は16.0%で、91パーセンタイル(上位9%)であり、MLB平均の24.7%よりもはるかに優れている。

✅速球(ファストボール)への強さ

The pitchers throw harder in MLB than anywhere else, but the Red Sox brass nailed that Yoshida would be well-equipped to handle this. In plate appearances ending on pitches of at least 95 mph, Yoshida currently has a .435 batting average, .739 slugging percentage, and a .525 wOBA — all of which rank in the top 10 among 96 players with at least 20 such PA this season.

メジャーリーグでは、世界で最も投手の球速が速いが、レッドソックスの上層部は吉田が速球に対応する能力がある事を見抜いていた。平均球速95マイル以上の球を放られた打席において、吉田は現在打率.435、長打率.739、得点貢献率(wOBA).525をマークしている。これらの数字は、平均球速95マイル以上の打席が20以上あった96選手中トップ10に入る数字だ。

✅今後の活躍にも目が離せない

These differences are stark, giving a clear look into exactly how Yoshida’s hitting streak has come around. Yoshida could always hit velocity, as Boston felt strongly about all along. But if his improvements against the filthier stuff are here to stay, Yoshida just might prove himself to be worth every single penny that Boston spent on him — all nine billion of them.

これらの数字の変化は正真正銘(吉田の実力であり)、どうして彼が連続試合安打を成し遂げたかをはっきりと説明するものである。吉田はどんな球でも速度のある打球を打ち返し、ボストン(レッドソックス)には頼もしい限りだ。しかし、困難を乗り越えて改善を続けていれば、吉田はボストンが支払った9,000万ドルの契約金に見合う価値のある選手である事を証明するだろう。

6.さいごに

この記事ではボストン・レッドソックスの吉田正尚選手の活躍についてまとめました。伝統ある球団のレッドソックスで上位打線を張っている事自体が素晴らしいです。最初はメジャーへのアジャストに苦労していた様子でしたが、打撃フォームの微調整が上手くいってからは、圧倒的な打撃成績を残していてすごいです。WBCの歴代打点記録保持者の適応能力は伊達ではありません。
小柄な体でフルスイングしながらも、高いコンタクト率を残す天才的な打者ですが、心配なのはケガだけです。試合数が多いMLBでシーズン通して戦うのは、長距離移動などもあり大変だと思いますが、無理せず時々休みを取りながら活躍して欲しいです。吉田選手がどこまでいけるのか、日々のスポーツニュースを見るのが楽しみです。

おわり

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