Culture

The Alchemist(アルケミスト)|寓話的冒険小説で英語多読

(2023.3.18)

記事の概要
・ブラジル人作家、パウロ・コエーリョ作の「アルケミスト」(The Alchemist, 1988)の英訳本を読みましたので、本の概要、あらすじ、英語の難易度などを書き記します。
・書籍から英文を一部引用して和訳します。洋書の雰囲気を味わって頂けます。
・日本ではあまり話題になりませんが、81カ国語に翻訳され、全世界で8,500万部も売れた大ベストセラー本です。

1.はじめに

ブラジル人作家、パウロ・コエーリョ(Paulo Coelho)の大ベストセラー小説「アルケミスト」(The Alchemist, 1988)の英訳本を読みました。この記事では本の概要、あらすじ、英語の難易度などをまとめます。原文から英語を抜粋して和訳しますので、洋書を読むかどうかの参考にもして頂ければ幸いです。
ブラジル人作家ですので、原文はポルトガル語で書かれています。今回私が読んだのは英語訳版になります。日本ではあまり話題にならない本作ですが、世界中で81カ国語に翻訳され、8,500万部も売り上げた驚異的ベストセラー作品です。

2.本の概要|The Alchemist (アルケミスト/パウロ・コエーリョ)

題名 The Alchemist
(邦題「アルケミスト – 夢を旅した少年」)
著者 Paulo Coelho
英訳 Alan R. Clarke
ブラジル
ジャンル 冒険、ファンタジー
出版社 HarperTorch
出版年 1988年(英語版1993年)
ページ数 163ページ
単語数 38,871語

参考:Wikipedia The Alchemist (novel)

The Alchemist (English Edition)|Paulo Coelho (著)
created by Rinker

・あらすじ

スペイン アンダルシア地方の羊飼いの少年Santiagoが主人公。羊の群れと共に行動し、羊毛を売って生活していた。
ある日、砂漠を超えた先にあるエジプトのピラミッドに宝物が埋まっているという夢を見た。その夢を何度も見たSantiagoは、占い師や偶然出会った王様にもエジプトのピラミッドを目指す様にお告げを受ける。宝物を手に入れる為にSantiagoは砂漠の旅に出るが、道中で騙されて無一文になったり、宝石屋で働いて成功したり、出会いがあったり、その中でピラミッドを目指し冒険を続けていく。
旅を通して良い出会いもあれば悪い出会いもあり、素晴らしい助言を受け多くの教訓を学んでいく少年は果たしてピラミッドにたどり着けるのか。そして宝物を手に入れる事は出来るのか。

・洋書の英語レベル、難易度

「アルケミスト」(The Alchemist)の洋書の英語はそれ程難しくないので、英語学習中級者であれば、チャレンジ出来ると思います。TOEICスコアで言えば、700点前後であれば読んでみて良いと思います。
寓話的な小説であり、自己啓発本っぽい内容が冒険物語の中に含まれています。突然長い例え話や教訓が途中に挟まったり、抽象的な一般論が多かったりするので、その辺はちょっと読みにくいです。普通に冒険小説を読みたい方は肩透かしを食らうかも知れません。英文自体は平易な方なのでスラスラと読み進められ、快適な読書が出来ました。

・本の感想~英語多読でのおすすめ度は星3.5/5つ中

「アルケミスト」(The Alchemist)の英語多読学習の材料としてのおすすめ度は星3.5(5つ中)です。自己啓発っぽい内容が多目なので日常会話に役立つ英語が学べるかどうかは疑問が残ります。
「自分の夢を信じて追い続けていく」事の尊さを説いた、作者の人生観が込められた作品ですので、共感できればはまるし、響かない人には退屈な、好き嫌いの分かれる作品かも知れません。インターネットのレビューでは、「星の王子さま」に共感できる人ならこの作品も好きになるだろうと言う意見が多く見られます。
私自身は年齢が30代も後半になり、人生訓とか自己啓発本の類はいくつも読んだので、特に新鮮味が無く響かなかったです。教訓よりも砂漠の旅をもっと掘り下げて描いて欲しかったなと思ってしまいました。若いうちにこの本を読んでいれば感じ方もまた変わっていただろうと思います。ですので、「アルケミスト」(The Alchemist)は若い方に特におすすめしたい一冊です。

3.書籍から英文引用・和訳|The Alchemist (アルケミスト/パウロ・コエーリョ)

教訓と明言を多数含む「アルケミスト」(The Alchemist)より、英文を一部引用して和訳していきます。洋書の世界観を感じて頂ければと思います

If someone isn’t what others want them to be, the others become angry. Everyone seems to have a clear idea of how other people should lead their lives, but none about his or her own.

Coelho, Paulo. The Alchemist (p.24). HarperCollins. Kindle 版.

もし他人が自分の思う通りの人間でなかったら、その人は怒るだろう。人は皆他人の人生に対してどうあるべきかの意見はあるが、自分の人生に対しては何も(はっきりした意見が)無いんだ。

“What’s the world’s greatest lie?” the boy asked, completely surprised. “It’s this: that at a certain point in our lives, we lose control of what’s happening to us, and our lives become controlled by fate. That’s the world’s greatest lie.”

Coelho, Paulo. The Alchemist (p.26). HarperCollins. Kindle 版.

「世界の大いなる嘘って?」少年は驚き尋ねた。「つまりこういう事だ。人生のある時点から、人は自分の身に起こる事をコントロール出来なくなるんだ。そして人生は運命に支配されるんだ。これが世界の大いなる嘘さ。」

“Why would a king be talking with a shepherd?” the boy asked, awed and embarrassed. “For several reasons. But let’s say that the most important is that you have succeeded in discovering your Personal Legend.”

Coelho, Paulo. The Alchemist (p.29). HarperCollins. Kindle 版.

「なぜ王様が羊飼いと話しているの?」少年は恐れかしこまって尋ねた。「理由は幾つかあるが、一番はお前がPersonal Legend(人生を懸けて目標とするもの)を見つけたからだ。」

The boy didn’t know what a person’s “Personal Legend” was. “It’s what you have always wanted to accomplish. Everyone, when they are young, knows what their Personal Legend is. “At that point in their lives, everything is clear and everything is possible. They are not afraid to dream, and to yearn for everything they would like to see happen to them in their lives. But, as time passes, a mysterious force begins to convince them that it will be impossible for them to realize their Personal Legend.”

Coelho, Paulo. The Alchemist (pp.29-30). HarperCollins. Kindle 版.

少年は’’Personal Legend’’が何の事だか分からなかった。「それは常に成し遂げたいと思う何かだ。若いうちは誰もが自分のPersonal Legendが何なのか知っている。その時点では全ての事は明快で実現可能だ。夢を見る事を恐れず、人生で起きて欲しい事全てに憧れを抱くんだ。しかし時が経つにつれ、奇妙な力が働き、Personal Legendを実現出来なくなると思いこまされるんだ。」

“And, when you want something, all the universe conspires in helping you to achieve it.”

Coelho, Paulo. The Alchemist (p.30). HarperCollins. Kindle 版.

「何かを欲した時、全宇宙は君がそれを実現する為の手助けする様企てるんだ。」

4.さいごに

パウロ・コエーリョ(Paulo Coelho)の小説「アルケミスト」(The Alchemist)は、夢を持って何かを信じて生きていく事の素晴らしさを教えてくれる本です。人生に役立つ教訓や名言がたくさんありますので、英語を勉強していない方にも和訳本をおすすめしたいです。

アルケミスト 夢を旅した少年
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いきなり洋書を読む事がハードルが高い方が、日本語訳を読んでから洋書にチャレンジするのも良いと思います。作者の人生観に共感出来るかどうかで本の感想も変わるとは思いますが、世界中で翻訳されヒットした大ベストセラー本ですので、この寓話的冒険小説が多くの方の心に響く事は間違いなしです。

第2章に戻って洋書の概要を見る

おわり

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