(2024.12.31)
この本はこんな方におすすめ
・イギリス文学史に残る名作「フランケンシュタイン」を簡易な洋書で読みたい方。
・Oxford Bookworms Library版のレベル3で、TOEICスコア550~785点程度の難易度。
記事の概要
・イギリスのメアリー・シェリーのゴシック小説の名作「フランケンシュタイン」(Frankenstein)をグレイデッド・リーダーズ版(Oxford Bookworms Library)の洋書で読みました。
・本の概要、あらすじ、登場人物、洋書の難易度などをまとめます。
・実際の書籍から英文を引用・和訳しますので、洋書の世界に少しだけ触れられます。
・名作をサクッと読みたい方にはおすすめ。読みやすい英語で短くまとめられています。
1.はじめに
イギリスの小説家、メアリー・シェリーの1818年に出版されたゴシック小説の名作「フランケンシュタイン」(Frankenstein)をOxford Bookworms Library版の簡易な洋書で読みました。やさしい英語で84ページと短くまとめられているので非常に読みやすかったです。
人造人間を産み出すという禁断の発明に成功してしまったヴィクター・フランケンシュタイン。怪物にも感情があり、愛を求めたが誰にも理解されず、孤独が憎しみに変わり手が付けられない状態になってしまう。そんな悲しきモンスターが生みの親に語りかけるシーンが見どころです。
洋書読了📚
Frankenstein
Level 3 Oxford Bookworms Libraryイギリス文学史に残るゴシックの名作をGraded Readers版にて読みました😀
醜い怪物にも愛はあり、しかし誰にも理解されず孤独と憎悪を募らせる。そんなフランケンシュタインの怪物が望んだ事とは…https://t.co/BX1EwQ1atv pic.twitter.com/rdq24bdHkM
— みっちー@英語学習ブロガー (@michi1009_t) December 28, 2024
・オックスフォードブックワームとは~Oxford Bookworms Library
イギリスのオックスフォード大学の出版局、Oxford University Pressが出しているオックスフォードブックワーム(Oxford Bookworms Library)のシリーズは、英語学習者がレベルに合わせて本を選べる様に編纂されたシリーズです。ブックワームなので、「本の虫」という意味です。ボキャブラリーや本の長さ、文法レベル等に応じてレベル分けされており、英語学習者からの高い評価を得ております。
今回読んだフランケンシュタインはOxford Bookworms Libraryのレベル3の分類です。この様な古典の名作を平易な英語で、サクッと読めるボリューム感なのでとてもおすすめです。
→Oxford Bookworms Libraryに関する、オックスフォード大学出版の日本語公式サイトはこちらをクリック
2.本の概要|Frankenstein Level 3 Oxford Bookworms Library
題名 | Frankenstein Level 3 Oxford Bookworms Library |
著者 編纂 | Patrick Nobes イラスト:Lynd Ward |
オリジナル版 | Mary Shelley Frankenstein; or, The Modern Prometheus (1818) |
ジャンル | ゴシック小説、ホラー、SF |
出版社 | Oxford University Press |
出版年 | 2012年 |
ページ数 | 84ページ |
単語数 | 9,685 words |
参考:Wikipedia Frankenstein
・登場人物
以下にOxford Bookworms Library版Frankensteinの登場人物をまとめます。
Victor Frankenstein:主人公。スイスのジュネーブ生まれ。大学生で、人造人間を創り出した張本人。
Monster, or creature:Victorが産み出した怪物。名前はない。
Robert Walton:Victorを救出した船の船長であり海洋冒険家。
Elizabeth:Victorの義理の妹であり、後の妻。
Ernest:Victorの弟。
William:Victorの弟。怪物に最初に殺められてしまう。
Justine:若い女性のお手伝いさん。William殺害の罪を被せられ、死刑宣告を受ける。
Henry Clerval:Victorの親友。怪物の2番目の殺害事件の被害者。
Professor Waldman:大学の先生で世界的な科学者。
Mr. Kerwin:裁判官。Henry Clerval殺害事件の調査をする。
※怪物が潜んでいた山小屋の隣人
Agatha:若く美しい女性
Felix:若く美しい男性
Father:盲目のおじいちゃん
Sophie:上述の3人の家に遊びに来た若く美しい女性。外国人。ソフィーとフェリックスは愛し合っている。
・あらすじ
スイス、ジュネーブの名家、フランケンシュタイン家で生まれたヴィクター。ある日眼にした雷の強大なエネルギーに衝撃を受け、人造人間を産み出す着想を得る。大学生になったヴィクターは人造人間の研究を始めた。世界的な科学者であるWaldman(ヴァルトマン)教授からも認められ、本格的な実現に向け日々研究に没頭した。家族にも心配されたが、雷の夜に遂に人造人間を産み出す事に成功した。しかし、ヴィクターは自ら産み出した怪物を手に負えず、放置してしまった。一方怪物は愛を求めて人間の世界をさまよったが、受け入れられず、心が歪んでいく。やがて怪物はヴィクターへの復讐を誓い、彼の肉親が次々に狙われていく…。争い合う2人は文字通り世界の果てまで追いかけ合う。
物語冒頭は、そんな2人が北極(?)の果てで追いかけ合うシーンから始まる。Walton船長がVictorを救い出し、Victorから怪物のストーリーを聞き出す。物語は船長の手記という形で始まる。
・洋書の難易度
今回のFrankensteinはOxford Bookworms LibraryのLEVEL3となっており、英語難易度は中級で英検2級レベル、TOEIC換算でおよそ550~785点程度となっています。知らない単語があっても意味を推測しながら読み進めていきやすかったです。誰もが耳にした事のある有名作なので、簡易版でサクッと読めるのはとてもありがたいと思います。
・本の感想~英語多読でのおすすめ度は星3.7/5つ中
Oxford編纂版のFrankensteinの英語多読学習教材としてのおすすめ度は星3.7(5点満点中)です。Graded Readersの簡易版なので仕方ないですが、登場人物に関する掘り下げが端折られているので、一人ひとりの人物像が頭に残らず、途中怪物に家族を殺されるシーンもあるのですが、「誰だったっけ?」となってしまい、若干残念なポイントです。
イギリスのゴシック小説の名作であり、人造人間というテーマなので最初のSF小説とも評される作品で、読んでおいて損はない一冊です。SF小説と言っても専門用語は特に無いので読みやすかったです。
現代のテクノロジーにおいては、クローン技術等で本当に人造人間が産まれる可能性があり、そんな我々の時代にも通ずる強いメッセージを持つ作品ではないかとも感じました。
3.書籍から英文引用・和訳|Frankenstein Level 3 Oxford Bookworms Library
この章ではOxford Bookworms Library版のFrankensteinから、英文を一部抜粋し、和訳していきます。洋書の雰囲気を感じて頂き、興味を持って頂けたら実際に本を手に取って頂ければと思います。
📝Victorがある日見た雷の力の強さに衝撃を受ける
I saw how strong electricity was. I began to read all the books that I could find about electricity and its terrible power.
Shelley, Mary. Frankenstein Level 3 Oxford Bookworms Library (English Edition) (p.13). Oxford University Press. Kindle 版.
電気の力がどれだけ強いのかを見た。私は電気と、そのとんでもない力の強さに関するあらゆる本を読み漁り始めた。
📝つぎはぎでつくり出した怪物の外観
I had wanted to make a beautiful man, but the face of the creature was horrible. Its skin was thin and yellow, and its eyes were as yellow as its skin. Its long black hair and white teeth were almost beautiful, but the rest of the face was very ugly.
Shelley, Mary. Frankenstein Level 3 Oxford Bookworms Library (English Edition) (p.18). Oxford University Press. Kindle 版.
私は美男子をつくりたかったのだが、その生物の顔はひどかった。肌は薄く黄色味がかり、目も同じ様に黄色かった。黒く長い髪と白い歯は大分良かったが、顔の他の部分は非常に不細工だった。
📝怪物がVictorに語りかける
’I am the unhappiest creature in the world, but I shall fight for my life,’ he said. ’I am bigger and stronger than you, but I will not start the fight. I shall always be gentle to you because you are my king and creator. You made me, and you should love me and be kind to me, like a father. William and Justine died because you did not love me. Why did you create me if you were not ready to love me?’
Shelley, Mary. Frankenstein Level 3 Oxford Bookworms Library (English Edition) (p.28). Oxford University Press. Kindle 版.
「私は世界で最も不幸な生き物だ!だが人生をかけて戦い続ける」と彼は言った。「私はあなたより大きくて強いが戦うつもりはない。あなたは私にとっての王であり生みの親だからいつでも寛容に接するんだ。あなたが私を生んだのだから、父親の様に私を愛すべきだ。WilliamとJustineが死んだのは、あなたが私を愛さないからだ。もし愛せないならどうして私を産み出したのだ?」
📝Walton船長と言い合う怪物
’You do not know how much pain and unhappiness I have felt,’ said the monster. ’I knew that I was doing evil things, but I could not stop myself. Do you think I enjoyed killing people? My heart was made for love, like a man’s heart.
Shelley, Mary. Frankenstein Level 3 Oxford Bookworms Library (English Edition) (p.61). Oxford University Press. Kindle 版.
「私がどれだけの痛みと不幸を被ったかあなたは知らない」と怪物は言った。「悪い事をしたのは分かっているが、自分自身を止める事が出来なかったんだ。私が殺人を楽しんでいたと思うのか?私の心はヒトの心と同じ様に愛で満ちているんだ。
4.さいごに
この記事ではOxford編纂版の「フランケンシュタイン」(Frankenstein)についてまとめました。オリジナル版は1818年出版なので200年以上前の作品ですが、込められたメッセージは現代にも通ずる普遍性のあるテーマだと感じます。そんな名作を平易な英語で短くサクッと読めるので、このOxford Bookworms Library版はおすすめです。
クローンやAIの技術が発達し人造人間というものが現実味を帯びてきている昨今、Frankensteinが訴えかけるメッセージはますます重要性を増しており、大切な事を考えさせてくれるのではないかと思います。
さいごまで記事を読んで頂きありがとうございました。
おわり
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