(2024.12.19)
この本はこんな方におすすめ
・英語を勉強しているコーヒー好きの方。
・コーヒーの歴史、用語、産地ごとの特徴などが分かる洋書です。
記事の概要
・洋書のコーヒー入門書、The Little Black Book of Coffeeを読みましたので、本の概要、洋書の英語難易度などをまとめます。
・コーヒーの知識が深まる簡単な歴史年表、用語集、産地ごとの特徴を掲載します。
・洋書から原文を一部抜粋、和訳します。洋書を読むかどうかの参考にして頂ければと思います。
1.はじめに
コーヒーに関する入門書を洋書で読みました。タイトルは、The Little Black Book of Coffeeです。この記事ではその本の概要、洋書の英語難易度、書籍から引用などして情報をまとめます。コーヒーの知識が深まる簡単な歴史年表、用語集、産地ごとの特徴も掲載します。
コーヒー好きであれば、英語を勉強していない方でも必見の記事です。
📚洋書読了
The Little Black Book of Coffee
Karen Berman (著)コーヒー☕に関する入門書を読みました😀
歴史、産地ごとの特徴、淹れ方、器具の種類、アレンジレシピ等の情報が初心者にも分かりやすく書かれてます。英語を勉強していてコーヒーが好きな方におすすめです👍https://t.co/DO88V9h80T pic.twitter.com/YLFRerUT9p— みっちー@英語学習ブロガー (@michi1009_t) December 6, 2024
2.本の概要|The Little Black Book of Coffee by Karen Berman
題名 | The Little Black Book of Coffee |
著者 | Karen Berman |
ジャンル | 教養書、専門書 |
出版年 | 2006年 |
出版社 | Peter Pauper Press |
ページ数 | 162ページ |
・コーヒーの歴史年表概略
ここではコーヒーの概略史を以下にまとめます。
・10世紀 エチオピア:ヤギ使いのカルディの伝説
※コーヒーの実や葉を食べた自分のヤギが踊り狂っていたのを見て自分も食べてハイになったという言い伝え。
・大航海時代 大航海貿易でエチオピアからコーヒーが輸出される。
・15世紀 イエメンがコーヒー栽培の中心地となる。イエメンにはモカで有名なモカ港がある。
※イスラム教神秘主義者(スーフィー)が布教の旅をするに伴いコーヒー文化が広まったと思われる。
※夜通しのお祈りに集中する為にコーヒーの覚醒作用を利用した?
・オスマントルコでコーヒーハウスやコーヒーの貿易が禁止される。
※実際はそのルールは破られていた。
・17世紀 インドにコーヒーノキが密輸される。
※そこからオランダ商人により東南アジア、インドネシアへ輸出されていく。
・18世紀 アメリカ大陸にコーヒーが密輸される。
※1720年 フランス海軍将校のガブリエル・ド・クリューが、植民地のマルティニークからアメリカにコーヒーを持ち込んだ。
※今日の南米で栽培された多くのコーヒーの起源はガブリエル・ド・クリューの農園までさかのぼる事が出来る。ブラジル、コロンビア、グアテマラ、ニカラグア、エルサルバドル、メキシコ等。
コーヒーの歴史は、大航海時代の植民地主義や奴隷貿易と密接に関わっています。欧米列強の植民地にコーヒーが広まって栽培され始めましたが、実際の日々の栽培や収穫等の肉体労働は植民地支配された側の人々がによって行われるのです。コーヒー産業の普及と発展は、被支配者側の国の人々によって支えられていたという事は忘れてはならない事実だと思います。
・コーヒー用語集
この章ではThe Little Black Book of Coffeeで出てくるコーヒーに関する用語をまとめます。
Coffee Belt:コーヒーベルト。赤道を中心に北緯25度・南緯25度に位置するコーヒー栽培に適した地域の事。
Arabica:アラビカ種(のコーヒー豆)
Robusta:ロブスタ種(のコーヒー豆)
Cupping:コーヒーの品質や風味を評価するテイスティング
Brew:(コーヒー、お茶を)淹れる
Pour over:ハンドドリップする
Roast:焙煎する
smoky:(焙煎による)苦味のある
coffee cherry:コーヒーの実(豆)
green coffee:生豆
caffeine:カフェイン
decaffeinated coffee:デカフェのコーヒー
grinding:(コーヒーの豆等を)挽く
ground coffee:コーヒー豆を挽いた粉
drip:ドリップする
carafe:サーバー
coffee gear:コーヒー関連器具
coffee mill (or coffee grinder):コーヒー豆のひき器
コーヒーの味の評価に関する用語
Aroma:コーヒーの香り。コーヒーアロマ
Acidity:酸味
Body:コク。ボディ感(味の重さ、厚さ、芳醇さ、粘り気等)。
Flavor:味わい、(コーヒーを口に含んだ時の)香り
Finish:余韻。後味。
味の評価に付随する言葉
ポジティブなもの:earthy(土の様な)、winy(ワインの様な)、nutty(ナッツの様な)、spicy(スパイシーな)、cinnamony(シナモニー、シナモンの様な)、toasty(トーストの様な)、tangy(酸っぱい)
ネガティブなもの:harsh(雑味、えぐ味)、bitter(苦い)、green(未熟な、青臭い)、grassy(草の様な)、strawy(ワラの様な)、muddy(泥の様な)、woody(木の様な)、rancid(悪臭)、rubbery(ゴムの様な)、musty(かび臭い)
・産地ごとのコーヒーの特徴
この章ではコーヒーの産地国ごとの特徴をまとめていきます。
南米
ブラジル:世界一のコーヒー生産国。ロブスタ種が多く、インスタントコーヒーや缶コーヒー、エスプレッソに良く使われる。ブラジルにもアラビカ種はある。ブラジルコーヒーの典型的なイメージは、中煎りで甘くてすっきりしており、ほのかな酸味がある。
コロンビア:長年ブラジルに次ぐナンバーツーのコーヒー生産国だった。ミディアム~フルボディのコーヒーで、酸味があり、ほんのり甘くキャラメルっぽく、ワイン系のテイストが特徴。
グアテマラ:風味豊かなバランスの良い、アロマティックな特徴のコーヒーを生産している。火山灰系の土壌でコーヒーが栽培されており、スパイシーだったり、チョコレート系の味の特徴がある。
ベネズエラ:コロンビアに似た系統のコーヒー。
コスタリカ:豊かな酸味のミディアムボディのコーヒーで知られる。
ジャマイカ:ジャマイカはブルーマウンテンコーヒーが有名。ほのかに甘く豊かなアロマで知られる。
プエルト・リコ:かつてコーヒー産業が盛んだったが、ハリケーン被害や世界での価格競争に巻き込まれ壊滅的な状況になったが、現在復興中。フルーティーなアロマと調和の取れたボディと酸味が特徴。
メキシコ:南部でのコーヒー栽培が有名。ライトなボディ、酸味、アロマで知られる。
アフリカ、中近東
エチオピア:厚みがあり酸味の強いコーヒーが特徴。
イエメン:かつてのコーヒー大国。リッチでチョコレート系のテイストのモカが有名。
ケニア:独自のコーヒー豆の評価システムがあり、高品質な豆の栽培で有名。フルボディ、フルーティーな酸味、香り高く、ワイ二ーな風味が特徴。
ジンバブエ:ケニアに似た系統のコーヒーだが、ケニアほどの強い特徴はない。
タンザニア:リッチなボディで、繊細な酸味が特徴のコーヒー。キリマンジャロ山が有名。
コートジボワール(Ivory Coast):最大のロブスタ種生産地のひとつ。ライトボディで豊かなアロマが特徴で、深煎りやエスプレッソにされる。
アジアパシフィック
インドネシア:フルーティーなボディ感、マイルドな酸味でスパイシー系なコーヒーが特徴。島によっての違いも大きく、スマトラ島はダーク系、ジャワ島はミディアムボディの酸味系、スラウェシ島はバランス系、など。
ハワイ:コナコーヒーはあまりにも有名で世界で最も値段が高い。ミディアムボディで上質な酸味とアロマ。シナモンやクローブの風味がある。
ベトナム:急速に発展した世界最大のコーヒー大国のひとつ。ほとんどがロブスタ種の系統。マイルドボディでバランスに優れたコーヒーが特徴。
インド:フルボディで深みがあるが繊細な味わいのコーヒーが特徴。
・洋書の英語レベル、難易度
The Little Black Book of Coffeeの英語難易度ですが、コーヒーに関する知識の深さによって変わってくると思います。既にコーヒーについて、横文字の単語をたくさん知っていて知識のある方であれば、すらすら読み進められる事でしょう。逆にコーヒーに関する知識がまだ無い方にとってはピンと来ない内容が多いかも知れません。コーヒーについて興味のある方であれば、TOEICスコア700~800点程度あれば読んでみて良いだろうと思います。コーヒーに関する知識を英語で学ぶ最初の一冊としてはおすすめです。
・本の感想~英語多読でのおすすめ度は星3.8/5つ中
The Little Black Book of Coffeeの英語多読学習教材としてのおすすめ度は星3.8(5点満点中)です。上述しましたが、おすすめするのはコーヒーについて興味がある人のみです。
例えばコーヒーを淹れる際の適温は大体摂氏90度前後なのですが、この書籍内では華氏195度(摂氏90度に相当)で記載されています。また、日本では水道水を沸かしたお湯でコーヒーを淹れて何の問題も無いですが、海外では水道水の品質が悪く、ペットボトルの水も硬度が高かったりミネラルが多く硬いものが多いので、ろ過(?)した水をつくる事が書籍内ではすすめられていました。そんな文化の違いを楽しみながら読むには、事前知識がそれなりに必要です。
3.書籍から英文引用・和訳|The Little Black Book of Coffee by Karen Berman
この章ではThe Little Black Book of Coffeeの書籍より、実際の英文を一部引用して和訳していきます。コーヒー好きな方にはお馴染みの知識も英語で見るとまた違った感触があるのではないでしょうか。
📝羊飼いのカルディのコーヒー伝説
One day, when the goats did not come in response to his piped call, Kaldi found them romping in a frenzy, nibbling the berries and leaves of a bush that he did not recognize.
Berman, Karen. The Little Black Book of Coffee (English Edition) (p.11). Peter Pauper Press. Kindle 版.
ある日、カルディは笛で自分の羊たちを呼んだが来なかった。様子を見てみると羊たちは草むらのよく分からない実や葉をかじり、興奮しながら飛び回っていた。
📝大航海時代のColonialismと共にコーヒー産業が拡大
In the Dutch-controlled coffee plantations of Java, enslaved Javanese did the job. In the Americas, coffee was cultivated and processed by enslaved Africans (who performed the same function on sugar plantations);
Berman, Karen. The Little Black Book of Coffee (English Edition) (p.15). Peter Pauper Press. Kindle 版.
オランダ支配下の(インドネシア)ジャワ島のコーヒー農園では、奴隷化したジャワ島民が働いていた。アメリカ大陸においてはコーヒーは黒人奴隷によって栽培・収穫された(この図式はサトウキビのプランテーションにおいても同様であった)。
📝アラビカ種とロブスタ種のコーヒー豆。一概には言えませんが、アラビカ種は高級、ロブスタ種は安価とされる。
Arabica is the bean of ancient Ethiopia, prized for its rich flavor and enticing aroma. It grows best at higher equatorial altitudes, where the temperature fluctuations are thought to improve the flavor and aroma of the bean. Robusta beans were discovered in 1898 in what was then the Belgian Congo.
Berman, Karen. The Little Black Book of Coffee (English Edition) (pp.21-22). Peter Pauper Press. Kindle 版.
アラビカ種は、古代エチオピア原産の豆とされ、その芳醇な香りと魅力的なアロマが賞賛されている。アラビカ種は高高度での栽培に適しており、気温の変化が豆の香りとアロマを上質なものにするとされている。(一方で、)ロブスタ種は当時のベルギー領コンゴで、1898年に発見された豆である。
📝コーヒーの鮮度を保つ為の保管方法。コーヒー好きにはお馴染みの内容
Coffee should be stored in an airtight container in a dry, cool, dark place. Ideally, once the coffee has been exposed to the air, it should be used within two weeks. If you won’t finish your coffee in that time, store it in the freezer in an airtight container for up to a month or so.
Berman, Karen. The Little Black Book of Coffee (English Edition) (p.42). Peter Pauper Press. Kindle 版.
コーヒー(豆や挽いた粉)は気密性の高い入れ物に入れ、乾燥した冷たく暗い場所で保管すべきである。理想を言えば、一度コーヒーが空気に触れたら2週間以内に消費するのが望ましい。もし2週間以内に飲み切れないのであれば、密封したタッパー等に入れて冷蔵庫で保管すれば1ヶ月程度はOKだろう。
📝コーヒーを淹れる際のお湯の温度について
Whatever water you use, it’s important that it reach the proper temperature: 195°. This temperature allows for optimum extraction of flavor and aroma from the grounds.
Berman, Karen. The Little Black Book of Coffee (English Edition) (p.55). Peter Pauper Press. Kindle 版.
どの様な水(お湯)を使うにしても、温度が適温である華氏195度(摂氏90度)に達している事が重要である。この温度によって、挽いたコーヒー豆からフレーバーとアロマを最大抽出する事が可能になるのである。
その他、書籍ではコーヒーマシンに関する説明や、コーヒーを使ったオリジナルドリンク(甘いホットドリンク、お酒の入った冷たいカクテル等)やスイーツのレシピが盛りだくさんです。私は個人的にそれらには興味が無かったので読み飛ばしてしまいましたが、そういったジャンルに興味がある方にも楽しんで頂ける書籍だと思います。
4.さいごに
この記事では、コーヒーの入門書の洋書、The Little Black Book of Coffeeについてまとめました。コーヒーは単なる飲み物のひとつですが、そこから歴史が学べたり、地理的な要素も絡んでいたり、はたまた化学的なアプローチで味や抽出方法を分析する人もいたりと、様々な事を学べて奥が深いです。そんな興味深いコーヒーの世界に足を踏み入れる第一歩として、良い書籍だったと思います。悠久の歴史に想いを馳せながらコーヒーを飲めば、いつもの一杯もより深みを増し、至福のコーヒータイムを過ごせる事でしょう。
今回洋書を読んだ事でコーヒーにまつわる英単語を覚えられたので、今後、海外のコーヒー系ユーチューバーの動画等もチェックして知識を深める事が出来ればと思っています。
さいごまでお読み頂きありがとうございました。
おわり
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