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【エヴァンゲリオン】庵野秀明監督インタビュー(海外記事抜粋和訳)

(2021.8.29)

ファンならずとも言わずと知れた大人気アニメシリーズ、「新世紀エヴァンゲリオン」。その最新作にして最終作の「シン・エヴァンゲリオン劇場版:‖」が今年劇場公開されました。ヒットの余韻も冷めやらぬ中で、Amazonプライムでストリーミング配信が開始されたので、私も最近視聴しました。

遂に物語が結末を迎えた訳ですが、本記事では、ニューヨーク・タイムズ紙による庵野秀明監督のインタビューを抜粋して和訳していきます。英語学習している方で映画を見た方は必見です。また、海外からの作品の評価や、今後の庵野監督の動向なども分かるので、英語学習をしていない方でもファンの方は必見です。

それでは以下に訳していきます。英語学習のお役に立てば幸いです。

引用元:The New York Times
‘Evangelion’ Director Explains How He Finally Found His Ending (by Charles Solomon)(August, 6, 2021Updated August, 11, 2021)
https://www.nytimes.com/2021/08/06/movies/evangelion-hideaki-anno.html

‘Evangelion’ Director Explains How He Finally Found His Ending

エヴァンゲリオンの監督がどのようにして締めくくり方を見つけたのか語った

Hideaki Anno is concluding the story of Shinji Ikari and company in a film due on Amazon this month but says, “There might come a time when I meet them again.”

庵野秀明氏が、今月アマゾン(プライムビデオ)で解禁される映画で、碇シンジとその仲間達の物語に終止符を打ったが、「彼らにまた会う日がいつか来るだろう」と彼は彼は言った。

Finally.
Hideaki Anno’s “Evangelion: 3.0 + 1.0: Thrice Upon a Time,” which begins streaming on Amazon Prime on Aug. 13, is the film that anime fans have awaited for 25 years. The fourth and final theatrical feature in the “rebuild” of his landmark 1995-96 television series, “Neon Genesis Evangelion,” brings the epic adventure to a definitive conclusion.

ついに…!
アニメファンが25年間待ち焦がれた庵野秀明監督の「シン・エヴァンゲリオン劇場版:‖」がアマゾンプライムでのストリーミング配信が開始された。(当時)画期的だった1995から96年放送のTVシリーズの「新世紀エヴァンゲリオン」の再構築であり、シリーズ4作目にして完結編となる劇場版では、壮大な物語に明確な終止符が打たれた

epic:壮大な
definitive:決定的な、最終的な

A compelling, complex work that mixes mecha battles with apocalyptic Christian symbols, Jewish mysticism and teenage angst, “Evangelion” (pronounced eh-van-GEH-lee-on, with a hard G) ranks among the most widely discussed TV series in anime history. Its influence is extensive and includes Japanese animated fantasies and Guillermo del Toro’s 2013 sci-fi adventure “Pacific Rim.” And fans continue to debate its significance, subtext and details.

戦闘ロボットと、終末論的なキリスト教のシンボルやユダヤ教的な神秘主義と10代の若者特有の不安がない混ぜになった複雑さが人を惹きつける作品であるエヴァンゲリオンは、アニメ史上最も多くの議論を巻き起こしたTVシリーズである。
その影響の広がりは、日本のファンタジーアニメや、ギレルモ・デル・トロ監督のSF映画の「パシフィック・リム」(2013年)にも及ぶ。ファンは、その素晴らしさや作品の背後にある意味や詳細な事柄まで議論し続けてきた。

compelling:人をひきつける、感動的な
apocalyptic:終末論的な、黙示録的な
mysticism:神秘主義
angst:不安、懸念
extensive:広い、広大な
sci-fi:(science fictionの略)サイエンス・フィクション、SF
subtext:背後にある意味

“My influence on other creators isn’t something I think about when I’m working on a film,” Anno told me in an interview. “I decide what to make based on what I’m best suited for and what interests me most at the time. The ‘Evangelion’ project repeatedly came up, so I made the new theatrical movies. I don’t think that kind of opportunity will occur again.”

「クリエイターへの影響がこれ程になるとは、映画製作に取り組んでいる時は思っていなかった」と庵野監督はインタビューで話してくれた。「作品をつくる時は、私が一番しっくりくるものやその時一番面白いと思ったことに基づいて決めていきます。エヴァンゲリオンプロジェクトは何度も考えていたので、新たに劇場版を作ることにしました。こんな機会がまた来るとは思っていませんでした。」

Despite its popularity, “Evangelion” never had a satisfactory ending. The original series failed to resolve the intricate plot, with its theological and ontological overtones. Shortly before “Evangelion” aired, Anno wrote that he had created it after four years of severe depression when he was “a wreck, unable to do anything” and that “the story has not yet ended in my mind.”

その人気にも関わらず、エヴァンゲリオンは満足いく結末がこれまでなかった。(TVシリーズの)オリジナル版は、神学的・存在論的なニュアンスを含む複雑な伏線を回収することが出来なかった。エヴァンゲリオンが放送される少し前、庵野監督の手記によると、エヴァを描いた時は「廃人同様」で「何もする事が出来ない」ひどいうつ状態が4年間続いた後で、「頭の中でストーリーはまだまとまっていなかった。」

resolve:解決する
intricate:複雑な
theological:神学的な
ontological:存在論の
overtone:含み、ニュアンス
wreck:打ちひしがれた人、廃人

Anno was clearly not satisfied, as he continued to look for a conclusion, recutting the last episodes and reworking them in the feature “Death & Rebirth” (1997) and again in the second 1997 feature “The End of Evangelion.”

庵野監督は満足出来ずに結末を探り続けた。ラストシーンを再カットして取り組んだのが、1997年の「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生」と、「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」である。

In 2002, Anno announced plans for a four-feature “rebuild,” a reimagining of the story, unconstrained by the financial and technological limits he had originally faced. “Evangelion: 1.0 You Are (Not) Alone” (2007) was a flamboyant retelling of the first six television episodes. “Evangelion: 2.0 You Can (Not) Advance” (2009) and “Evangelion: 3.0 You Can (Not) Redo” (2012) took the characters and story in completely new directions. Nine years later, “Thrice Upon a Time” brings the saga to a surprisingly upbeat conclusion.

2002年、庵野監督は4編から成る「新劇場版」のプランを発表した。ストーリーを再構築し、それまで直面していた予算の制約と技術的な限界を取り払った形で取り組まれた。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」(2007年)は、TVシリーズ第6話までの華やかな焼き直しであった。
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」(2009年)と「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」(2012年)で、登場人物と物語は完全に新たな方向へ動き始めた。そして9年を経て、「シン・エヴァンゲリオン劇場版:‖」で、この大長編物語に驚愕・かつ明るい結末がもたらされた。

unconstrained:制約されない
flamboyant:きらびやかな
saga:英雄伝、武勇伝、北欧伝説
upbeat:上向きの、楽天的な

These four films showcase Anno’s skill at using new computer-graphic technology to create more powerful iterations of his original visions. In the TV series, when troops attacked the Angel Ramiel, it destroyed the humans and their weapons in a series of unremarkable explosions; in “You Are (Not) Alone,” the audience can almost feel the heat when the Angel reduces the tanks and missiles to glowing slag.

この4編の劇場版では、新たなCG技術で庵野監督の才能が発揮されており、オリジナル映像が迫力を増して焼き直されている。TVシリーズでは、軍隊が使徒ラミエルを攻撃した時、ラミエルが人間と武器を破壊する場面は平凡な爆発シーンだった。しかし新劇場版序では、使徒が戦車やミサイルをせん滅する時の燃える鉄くずの熱までを観客が感じられる程(の映像)である。

showcase:見せる、展示する
iteration:繰り返し、反復
unremarkable:平凡な、人の注意を引かない
glowing:燃えるような、鮮やかな
slag:鉄くず、鉄屎

“In animation, nothing is real. But I wanted to bring more of a sense of reality into this made-up world — I wanted to make the characters more human,” he explained. “There’s a gap between what people say in real life and what they truly mean. In animation, unless the characters are intentionally lying, they always say what they mean. I wanted to reverse that: When the characters in ‘Evangelion’ speak, they don’t necessarily say what they mean. I wanted to add this human behavior to animation.”

「アニメーションにおいて、リアルなものは何一つありません。しかしこの作られた世界の中に、リアルな感覚を入れたかったのです。もっとキャラクターを人間くさくしたかったのです。」と彼は言った。「ヒトが実際に話すことばと、本当に意味することには隔たりがありますが、アニメの中では例え登場人物が嘘をついていたとしても、彼らは常にことばの意味の通りの事しか話さないんです。それを変えたかった。エヴァンゲリオンの登場人物が話す時、彼らは内面で思っている通りの事を話しているとは限らない。こういった人間の行動をアニメの中に入れたかったんです。」

“People feel Shinji is an unusual hero,” he continued. “I think that’s due to the sense of reality I brought, drawing on my experience and knowledge. But Shinji and the other characters are not just a reflection of me; they include elements of the personalities of all the artists on the creative team.”

「シンジは変わった主人公だと皆さん感じています」と彼は続けて話す。「多分それは私の経験と知識をもとに現実の感覚を以て描いたからだと思います。しかしシンジや他のキャラ達は、私の生き写しに留まる訳ではなくて、(制作に関わった)全てのクリエイター達のそれぞれの個性の一部を含んでいるんです。」

The original “Evangelion” was a huge hit that helped reverse a slump in the Japanese animation industry: When the final episode was broadcast in March 1996, more than 10 percent of all televisions in Japan were tuned to it. “Evangelion” remains popular, with hundreds of millions of dollars in sales of videos and related merchandise. The newer features continued that success: “Thrice Upon a Time” opened in Japan on March 3 and played for more than 135 days in theaters there, earning more than 10.22 billion yen (about $93 million) — despite the pandemic.

オリジナルの「新世紀エヴァンゲリオン」は大ヒットで、日本のアニメ業界の不調を盛り返すのに一役買った。1996年3月に最終回が放送された時には、日本で視聴率10パーセント以上であった。「新世紀エヴァンゲリオン」の人気は続き、映像作品や関連商品の売上は数億ドル以上に登った。新作も興行的に成功を収め、「シン・エヴァンゲリオン劇場版:‖」は3月3日に公開し、135日に渡り劇場公開され、興行収入は102億2千万円を記録した、パンデミックにも関わらず。

Reflecting on that continued popularity, Anno said, “As a creator, I want to make things that are entertaining but have depth. I didn’t want our show to be some escape-from-reality type of entertainment, I wanted people who watched it to feel encouragement to live their own lives.”

長く続く人気を受けて庵野監督は「クリエイターとして、作品にはエンタメの中に深さも持たせたいと思ってます。現実逃避の芝居を作るのではなく、見た人に自分の人生を生きる勇気を与える様な作品をつくりたいです。」と言った。

Anno is shifting to live action for his next project. In April, the Toei Company announced he would direct “Shin Kamen Rider,” part of the 50th anniversary celebration of that popular superhero franchise. It’s planned for release in March 2023.

庵野監督の次なるプロジェクトは実写のアクションだ。4月に、東映は「シン・仮面ライダー」で彼が監督をつとめる事を発表した。人気スーパーヒーローシリーズの50周年記念となる作品だ。公開は2023年3月予定。

franchise:(この文脈では)映画やテレビのシリーズ

When asked how it felt to bid farewell to “Evangelion” after more than 25 years, Anno concluded, “I don’t feel a need to see Shinji and the other characters any time soon. But that doesn’t mean I don’t want to see them ever again: There might come a time when I meet them again.”

25年以上の時を経てエヴァンゲリオンに別れを告げる心境を問われ、庵野監督はこう結んだ、「シンジや他のキャラクター達にすぐにまた会う必要はないと思います。でもそれは永遠に会いたくないという意味ではないです。また合う日がいつか来るのかも知れません。」

ペンペン
ペンペン
長かったストーリーにも遂に終止符が打たれたです。
コンコン
コンコン
衝撃のラストだったね。庵野監督の今後の活躍にも期待だね。

おわり

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<参考記事>
・海外(米国)メディアの魅力的なニュースを原文で読んでみたい方におすすめの記事です。本記事の庵野監督のインタビューはニューヨーク・タイムズによるものでした。アメリカの主要ニュースメディアを網羅しています。

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