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大谷翔平の2022年シーズン投打成績まとめ~進化止まらぬ二刀流スター

(2022.10.16)

記事の概要
・大リーグ ロサンゼルスエンゼルスの大谷翔平選手の2022年シーズンの投打の成績と記録をまとめます。
・ハイライト動画で大谷選手の2022年シーズンの活躍を振り返ります。
・現地米国の記事を引用・和訳しますので、英語の勉強にもなります。
・投打の主要タイトルで何位だったかが分かります。
・ジャッジ選手とのMVP論争に関する私見を綴ります。

1.はじめに

アメリカ大リーグ、ロサンゼルスエンゼルスの大谷翔平選手の2022年シーズンが終了しました。所属するチームのエンゼルス自体はア・リーグ西地区3位、負け越しでワイルドカード争いにも食い込めず、という残念な結果でした。大谷選手自体は昨年のMVPシーズンを超えるレベルの投打に渡る大活躍で、個人成績も主要タイトル獲得とはいきませんが軒並み上位に食い込みました。
本記事では2022シーズンの大谷選手の成績と記録を投打に渡ってまとめます。更には現地アメリカの英語記事を引用・和訳しますので、英語の勉強にも役立てて頂ければ幸いです。

・ハイライト動画

早速大谷選手の2022シーズンのハイライト動画をご覧下さい。投打に渡る大活躍で、本当に漫画の主人公みたいです。

動画タイトル:Shohei Ohtani 2022 Highlights | Another historic season for Angels’ amazing two-way player!
YouTubeチャンネル:MLB
URL:https://www.youtube.com/watch?v=1MAAc3QFe98

次章以降で、大谷選手の2022年シーズンの投打成績を詳しく見ていきましょう。

2.個人成績|大谷翔平 2022年シーズン

本章では大谷選手の2022年シーズンの投打の成績(stats)を見ていきます。

2022シーズン打撃成績

G(試合数):157
AB(打席数):666
AVG(打率):.273
H(安打数):160
2B(二塁打):30
3B(三塁打):6
HR(本塁打):34
RBI(打点):95
BB(四球):72
IBB(敬遠):14
SO(三振):161
SB(盗塁):11
OPS(出塁率+長打率):.875

2022シーズン投手成績

G(登板試合数):28
W(勝利数):15
L(敗戦数):9
ERA(防御率):2.33
IP(イニング数):166.0
SO(奪三振数):219
WHIP(イニングあたりの出塁数平均):1.01

3.大谷選手が2022シーズンに残した記録

大谷翔平選手が2022年に残した記録を打者編、投手編、二刀流編で見ていきましょう。

打者編

・自身最長の18試合連続安打(9月~10月)
・MLBで日本人選手初の2年連続30本塁打

投手編

ア・リーグ奪三振率1位(11.87)
・自身初となる二桁勝利を達成し、15勝(ア・リーグ4位タイ)
・自己最多の166投球回で、MLBでは自身初の規定投球回達成
MLBでは自身初の防御率2点台
・日本人選手4人目のシーズン200奪三振(他3人は野茂、ダルビッシュ、松坂)

二刀流としての記録

10勝&10本塁打以上を達成。ベーブ・ルース以来104年ぶりの偉業
同一シーズンで規定打席&規定投球回達成。現行のルールとなった1900年以降で初の快挙
・史上初めて同一シーズンで投手として600人の打者と対戦&打者として600打席に立つ
・2桁勝利+30本塁打は史上初
・200奪三振+30本塁打は史上初
・打者として投げられた球数と投手として投げた球数の合算が、球数カウントが始まった1988年以降の35年間で最多。歴代上位4傑は下記。
1位 大谷翔平(2022年 5175球)
2位 大谷翔平(2021年 4621球)
3位 ランディー・ジョンソン(1999年 4584球)
4位 カート・シリング(1998年 4387球)

参考サイト
・【MLB】エンゼルス大谷翔平は2年連続MVPなるか…史上初の規定打席&規定投球回ダブル達成、15勝&34本塁打
URL: https://olympics.com/ja/news/mlb-otani-shohei-season-review-2022
・大谷翔平、まだあった歴代No.1記録 ジョンソン&シリング超えに米注目「価値がある」
URL: https://the-ans.jp/news/271837/

2022シーズンの大谷選手は、個人タイトルとしてはア・リーグ奪三振率王を獲得しました(MLB全体ではジャイアンツのロドン投手の11.98が最高)。個人タイトルはそれだけですが、先発投手として1年間ローテーションを守って規定投球回を投げて200奪三振して、打者で30本塁打以上は超人的で、信じられない成績です。どちらか一方だけでも達成する事は難しいですが、両方を1人でやってしまうのは信じられません。今後もケガだけはしない様に気を付けて投打に渡って活躍して欲しいと思います。

4.英語記事引用・和訳~海外の反応・評価

この章ではMLB公式サイトのニュースから英文を抜粋・和訳していきます。大谷選手が現地でどの様に評価されているかが分かり、英語の勉強もできるので一石二鳥です。

引用元:MLB.com
記事タイトル:Ohtani makes more history to close ‘unbelievable’ year
Two-way star qualifies for leaderboards as pitcher and hitter in season finale (October 6th, 2022 by Rhett Bollinger)
記事URL:https://www.mlb.com/news/shohei-ohtani-qualifies-for-league-leaders-as-pitcher-and-hitter

📝同一シーズンで投打規定同時達成について

It took until the final game of the regular season, but Shohei Ohtani made history yet again, becoming the first player in the World Series era to qualify for the leaderboards as both a hitter and a pitcher in the same year.

レギュラーシーズン最終試合までかかったが、大谷翔平がまたもや歴史を作った。ワールドシリーズが開催されて以降の歴史上初めて投打両方で規定に到達した選手になったのだ。

📝エンゼルス・ネビン監督のコメント

“He’s just a special player, a special person,” Nevin said. “After four innings, you start thinking about that history stuff again, being perfect through four. It was a really good ending to a great year. We have something special, and the baseball world has something special. When he goes out there, you anticipate great things happening.”

「彼(大谷)は特別な選手であり、人間としてもスペシャルだ」とネビン監督はコメントしている。「4回までパーフェクトピッチングで終えて、(完全試合の)歴史的偉業がまた頭をよぎったかもしれない。(しかし降板し)とても良い形でシーズンを終えられた。エンゼルスにとっても野球界にとっても彼は特別な存在だ。彼が試合に出ていると何かが起きるんじゃないかと期待してしまう。」

📝チームメイトのトラウト選手のコメント

“He’s unbelievable,” said fellow superstar Mike Trout, who hit his 40th homer of the year (and the 350th of his career) in Wednesday’s season finale. “I mean, it’s amazing. We’re fortunate enough to see it every day. I don’t think we’ll ever see this again.”

「(大谷選手がやっている事は)信じられないよ」とチームメイトでスーパースターのマイク・トラウトは言った。彼は水曜日の最終試合で(自身のキャリア350本目となる)今シーズン40本目のホームランを打った。「(大谷選手には)驚愕だ。彼のプレイを毎日見られるだけで幸運だよ。今後(彼の様な選手は)もう決して見られないと思うよ。」

📝MVPとサイヤング賞争いにノミネート

The reigning American League MVP, Ohtani is again a candidate for the award, along with the Yankees’ Aaron Judge, who hit his AL-record setting 62nd homer of the season on Tuesday night in Arlington and is considered the favorite.

(2021年のMVPは大谷選手だったので)現ア・リーグMVP保持者である大谷は今年も候補に挙がった。ヤンキースのアーロン・ジャッジも選出されているが、火曜日のアーリントンでの試合でシーズン62本塁打のア・リーグ最多本塁打記録を更新し、MVP最有力とされている。

With his strong finish on the mound, Ohtani is also in the mix for the AL Cy Young Award with the Astros’ Justin Verlander, the White Sox’s Dylan Cease and the Blue Jays’ Alek Manoah. Ohtani leads American League starters in strikeouts per nine innings.

(大谷の最終試合での登板について)マウンドでの力強い締めくくりをし、大谷はア・リーグのサイヤング賞候補にも選出された。他の選出者はアストロズのジャスティン・バーランダー投手、ホワイトソックスのディラン・シース投手とブルージェイズのアレク・マノア投手である。大谷は奪三振率でアメリカンリーグトップだ。

📝エンゼルスはポストシーズン進出を逃した

Ohtani, 28, said he’s enjoyed the award races down the stretch, but lamented that the Angels are missing out on the postseason yet again, as he’s never played in the playoffs since joining the club in 2018.

28歳の大谷は、最後までもつれている個人タイトル争いを楽しんでいると言ったが、何よりもエンゼルスが今年もポストシーズン進出を逃した事を嘆いた。彼は2018年にチームに加入してから一度もプレーオフに出ていない。

📝来季もエンゼルスと単年契約

Ohtani, who signed a one-year deal worth $30 million on Saturday to avoid arbitration, also gave no hints about his future beyond next year. Ohtani is set to be a free agent after the 2023 season and said he hasn’t thought about a possible extension or reaching free agency just yet. The Angels are also in the midst of a possible ownership change, which could complicate things for Ohtani’s future with the organization.

大谷は3,000万ドルで(エンゼルスと)1年契約を結び、移籍の可能性はなくなったが、来年以降の去就に関しては言及しなかった。
大谷は2023年のシーズン終了後にフリーエージェントとなるが、まだ行使の可能性もエンゼルスとの契約延長についても決めていないと言った。エンゼルスはオーナー変更の可能性もあり、その事が大谷の将来の去就をややこしくするのかも知れない。

5.さいごに~ジャッジ選手と大谷選手とのMVP争い、論争に関する私見

2022年も二刀流で目覚ましい活躍をしたエンゼルスの大谷翔平選手。スポーツニュースでは連日、ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手とのア・リーグMVP争いについて論争が繰り広げられています。日本のファンとしては大谷選手に2年連続で獲って欲しいと願うところですが、今年の大本命はジャッジ選手でしょう。ア・リーグのシーズン本塁打記録更新となる62本塁打で本塁打王、打点王の2冠王で打率部門でも2位、所属するヤンキースもア・リーグ東地区ぶっちぎりの1位とくれば、文句なしのMVPだと思います。更にWAR(Wins Above Replacement)という指標、ざっくり言うと「どれだけチームの勝利に貢献したか」の数字においてもジャッジ選手は11.0で、大谷選手の9.5を上回っていますので、今年のMVPはジャッジ選手で良いと思います。

大谷選手がやっている事は他に比較対象がいないオンリーワンな事なので、後年に大谷賞を新たに作るのが妥当なのではないかと感じます。良く大谷選手の二刀流成績が、野球の神様ベーブ・ルースと比較されたり、ベーブ・ルース以来などと報じられる事がありますが、適切ではないと思います。なぜならベーブ・ルースは二刀流にコミットした選手ではないからです。ベーブ・ルースが野球の神様たる所以はヤンキースという伝統ある球団のスーパースターである事はもちろん、本塁打記録や通算OPS、純粋に薬物抜きで「打者」として当時の圧倒的な傑出度でアメリカの野球観をつくりあげた人だからでしょう。ベーブ・ルースの二刀流キャリアハイは1918年レッドソックス時代の13勝・11本塁打となりますが、1920年にヤンキースに移籍して以降引退までの15シーズンはほとんど投げていません(年間1~2試合程度)。

なので、大谷選手の二刀流挑戦は実質比較対象はなく、オンリーワンであると言えます。過去の誰かと比較してすごいのではなく、誰もやっていない事に対して初めて挑戦しているからすごいのです。

米国はジェネラリストよりもスペシャリスト?~2022シーズン ア・リーグ主要タイトルランキング

過去のインタビューでイチローさんが大谷選手に関してコメントしていましたが、二刀流をやって投打両部門で「優秀」な成績をおさめても「どうしたってケチがつく」という事が今年の活躍で実証された様な気がします。前人未到の「投打同時規定到達」と、2桁本塁打・2桁勝利を達成した今シーズンの大谷選手ではありますが、個人主要タイトルは取れませんでした。
史上初の記録づくめで本当に偉大ですが、1位の記録はほとんど無く、ア・リーグの主要タイトル争いで以下の様なポジションでした。

ア・リーグ打撃部門
打率
1位 アラエス(MIN) .316
2位 ジャッジ(NYY) .311
3位 ボガーツ(BOS) .307
25位 大 谷(LAA) .273

本塁打
1位 ジャッジ(NYY) 62本
2位 トラウト(LAA) 40本
3位 アルバレス(HOU) 37本
4位 大 谷(LAA) 34本

打点
1位 ジャッジ(NYY) 131
2位 J・ラミレス(CLE) 126
3位 タッカー(HOU) 107
7位 大 谷(LAA) 95

OPS
1位 ジャッジ(NYY) 1.111
2位 アルバレス(HOU) 1.019
3位 アルテューベ(HOU) .921
5位 大 谷 (LAA) .875

ア・リーグ投手部門
防御率
1位 バーランダー(HOU) 1.75
2位 シース(CWS) 2.20
3位 マノア(TOR) 2.24
4位 大 谷(LAA) 2.33

投球回
1位 バルデス(HOU) 201.1
2位 コール (NYY) 200.2
3位 ビーバー(CLE) 200
20位 大 谷(LAA) 166

奪三振数
1位 コール(NYY) 257
2位 シース(CWS) 227
3位 大 谷(LAA) 219

勝利数
1位 バーランダー(HOU) 18
2位 バルデス(HOU) 17
3位 マノア(TOR) 16
4位 大 谷(LAA) 15

チームの勝利にどれだけ貢献したかを示すWARという指標においてはヤンキースのジャッジ選手が11.0で1位、大谷選手9.5で2位という結果でした。
イチローさんの過去のインタビューで、あるシーズンは投手でサイヤング賞を取ってその翌年には打者として50本ホームラン打ってMVP取ったら…という旨の発言していましたが、大谷選手ならそれもあり得ると本当に想像できます。そんな二刀流の在り方も面白いと考えさせられてしまいます。これまでの「同一シーズンで先発投手とDHで打者」を兼任する純粋な二刀流も良いですが、チーム状況に応じてシーズン毎に投手または打者のどちらかにフルコミットする二刀流で、個人タイトルを総なめにする大谷選手を勝手に想像するのも楽しいです。

野球の本場アメリカは投手の分業制がいち早く進み、指名打者のDH制度も今季からナ・リーグでも導入され、両リーグで採用されています。投手においても打者においても米国では「スペシャリスト」を育成する事に注力している様に感じます。日本ほどには「フル出場」や「完投・完封」などにも重きが置かれていないと思います。アメリカでは役割を決めて、それに対してスペシャリストを目指す事を良しとする文化なのでしょう。そんな米国で、究極の「ジェネラリスト」である二刀流に挑戦してスターになった大谷選手は本当に稀有な存在で、チームメイトのトラウト選手がコメントしていた様に、今後決して見られないものを今私たちは見ているのかもしれません。

今シーズンの大谷選手は投打同時規定到達で、試合に出ずっぱりで半端じゃない仕事量で肉体的負担がすごそうです。ケガのリスクだけは心配なので、オフシーズンにしっかり休養して、良い調整をしてまた来季ケガ無くプレーする姿が見られる事を祈ります。そして、エンゼルスが躍進してポストシーズンでも大谷選手の活躍が見られれば最高です。今後も大谷選手の活躍から目が離せません。

おわり

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